
*私たちのライフサイクル*
皆さんは、ハヴィガーストやエリクソンはご存じでしょうか?
高校の教科書にも載っている人たちだと思います。定期テストにも出題されましたよね、きっと。
私hokenCには、心理学に対する興味が爆発していた時期(中年期)があります。当時は明けても暮れても臨床心理学の本を読み続けていました。保健師の仕事を退職してからは、再び大学で学び直しをして臨床心理士と公認心理師の資格を取得しました。
私自身は心理職としての実務経験が少ししかなくて、実力があまりありません。だから現場の心理士の皆さんを日々リスペクトして過ごしている状態です。
ライフサイクル論については、分厚い専門書が数多く出版されています。
気になって自宅の本棚を確認してみました。大物が2冊だけ残っていました。一応パラパラとめくると、思いのほかきれいな状態です。つまり「ほとんど読み込んでいない」という現状を目の当たりにしました。どちらかというと母子臨床(母子保健の領域)にコミットしていた感じで、発達心理学や保育系の文献が多く残っていました。断捨離を経過し生き残った強者たちです。
保健師や看護師の国試にも、エリクソンの自我発達理論やハヴィガーストの発達理論、家族の発達段階と課題・・・などが出題されていたと思います。
対象別の保健活動に突入する前に少しだけ復習ノートを作成しておきます。
ハヴィガーストの発達理論
- 幼児期(0〜5歳)
- 児童期(6〜12歳)
- 青年期(13〜18歳)
- 壮年期(19〜29歳)
- 中年期(30〜60歳)
- 老年期(61歳以上)
発達課題とは「発達のそれぞれの段階において、解決していくべき心理社会的な課題」
エリクソンの自我発達理論から
- 乳児期:基本的信頼 対 基本的不信 *「希望」を獲得
- 幼児期前半:自律性 対 恥・疑惑 *「意思力」を獲得
- 幼児期後半(遊戯期):積極性 対 罪悪感 *「目的意識」を獲得
- 学童期:勤勉性 対 劣等感 *「適格意識」を獲得
- 青年期:アイデンティティの確立 対 役割の拡散 *「忠誠心」を獲得
- 前成人期:親密性 対 孤立 *「愛の能力」を獲得
- 成人期:生殖性 対 停滞 *「世話(ケア)すること」を獲得
- 老年期:総合性 対 絶望 *「英知」を獲得
ライフサイクルと保健活動
乳幼児期
出生から就学前までの時期で、人生の基礎として心身が急速に発達する時期。
さまざまな刺激に対する免疫や抵抗力がないため、乳幼児の健全な成長・発達を促すための環境整備が大切。
先天性の障害がある場合も考慮し、早期に適した治療・訓練・教育を受ける必要性がある。
学童期
小学校入学から卒業までの時期で、友だちや教師などの家族以外の人との交流が多くなる。心身の発達は乳幼児期よりもゆるやかになり安定してくるが、他者との関わりの中で自己主張をしたり、自尊心や自制心を身につけていく必要性がある。
身体的には虫歯や近視、肥満などの問題があげられる。
食生活の乱れや放課後の塾通い等によって疲労やストレス、睡眠不足が増えてくる時期でもある。
思春期
中高生に相当し第二次性徴が出現し心身のアンバランスが生じる。
社会や家族の中で自我意識が強くなり、批判・反発・依存・甘えなどが共存する。
発育・発達に関しては個人差が大きくなり、いじめ・不登校・引きこもり・若年妊娠・神経性食欲不振症などの問題が生じることがある。
青年期
10代後半から20代前半をさし、進学や就職、結婚などによって生まれ育った家庭を離れ独立した生活を送るようになる。
子どもから大人への移行期でアイデンティティを獲得する上で動揺し混乱することがある。
自殺は20歳代の死因の第1位で、その原因はうつや統合失調症などの精神疾患が多い。
医師や保健師、臨床心理士などが必要に応じて対応しているが、家庭や学校、医療機関との連携が必要である。
成人期
20代後半から60代後半までの期間で人生の円熟期と言われている。
自分らしい人生を送る比較的安定した時期であるが、さまざまなストレスや喪失体験を抱えやすい時期でもある。
身体的には「生活習慣病」が発症しやすく、一般に就労している場合も多いため厚生労働省では「トータル・ヘルスプロモーション・プラン(THP)」を推進している。
老年期
ライフサイクルの最終段階であり、「死」を見つめざるを得ない時期。
複数の疾患を抱えることが多く、症状も出現しにくいことから手遅れになることもある。また抵抗力が弱いため短期間で重篤化することも特徴である。
家族の発達段階と基本的な課題
- 婚前期
精神的・経済的に親から独立、パートナーとの親密な関係、職業的アイデンティティの確立 - 新婚期
新しい家族と夫婦関係の形成、家族生活の基本計画 - 養育期
子の誕生による家族の変化への対応 - 教育期
親子関係の調整、夫婦の生活・関係の見直し - 排出期
子の独立、夫婦の二者関係の再調整、老親への適応 - 老年期
夫婦関係の維持・拡大、家庭・社会での新たな役割追求、親族・知人の喪失への対処 - 孤老期
一人暮らしの生活設計
【hokenCから一言】
復習をしてみて気がつきました。
「こんなふうに発達課題通りにはいかないし、いろんな場面で必ずといっていいほど危機がある」
就職や結婚、子育てだって経験する人もいれば、経験しない人もいる。
地域には多種多様なライフサイクルを体験している人々がいて、地域社会はその集合体である・・・と実感します。
その人らしく生活できることが何よりも大切で「教科書通りでなくてもいいじゃないか!」と少し力んでしまいました。
心理学を学ぶために大学院へ入学した時、ある教授から「皆さん入院おめでとう、これからは自分の治療に力を注いでくださいね」と言われました。
私はこの時、資格を取るために大学院へ入ったのではなく、自分自身を深く理解(自己分析)し、自分の弱点と向き合いながら、自己と他者を治療する方法を学ぶのだと痛感しました。
人間は常に悩みを抱えて生き続ける存在です。
何か行動を起こす背景には、そういった苦悩が原動力になっていることも多いと思います。
人は常に課題クリアできるような強い生き物ではないです。
だから本を読んだり、いろんな人の意見を聞かせてもらったりしながら過ごすものだと私は考えています。
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