疫学のキーワード:保健師国家試験出題基準から
疫学の定義と分類、記述疫学と分析疫学、曝露と疾病発生、危険因子、診断基準、因果関係、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針、有病率、累積罹患率、致命率、相対頻度、罹患率、死亡率、罹患率比、死亡率比、リスク比、オッズ比、寄与危険割合、人口寄与危険、母集団と対象集団、標本抽出、無作為抽出、生態学的研究、横断研究、コホート研究、症例対照研究、介入研究、偶然誤差と精度、系統誤差と妥当性、選択のバイアス、情報のバイアス、交絡因子、無作為化割付、マッチング、層化、年齢調整、スクリーニング、有効性の科学的根拠、信頼性の確保、敏感度と特異度、陽性反応的中度、疾病登録の意義、生活習慣の疫学(栄養・食生活、活動・運動、休息・睡眠、飲酒、喫煙、歯・口腔)、主な疾患の疫学(母性関連疾患、小児疾患、がん、心血管疾患、脳血管疾患、糖尿病、難病、精神疾患、感染症、事故、環境要因による疾患)、エビデンスに基づく公衆衛生看護に関連する疫学(社会・政策・臨床)、健康の社会的決定要因、健康格差、治療効果の評価、システマティックレビュー、メタアナリシス
【 文 献 】
- 医療情報科学研究所 編:「保健師国家試験のためのレビューブック 2023 第23版」、メディックメディア、2022
- 荒井 直子 他 編:「公衆衛生看護学.jp 第5版 データ更新版」、インターメディカル、2022
- 医療情報研究所 編:「公衆衛生がみえる 2022-2023」、メディックメディア、2022
- 『標準保健師講座』編集室:「2023年版 医学書院 保健師国家試験問題集」、医学書院、2022
- 医療情報科学研究所:「クエスチョン・バンク 保健師国家試験問題解説 2023 第15版」メディックメディア、2022
- 車谷典男・松本泉美 編:「疫学・保健統計ー看護師・保健師・管理栄養士を目指すー」健帛社、2016
*今回は、文献(1)と(6)を参照し、ノートを作成しました。
第4章 疫学調査法
母集団と標本
母集団とは、集団の特性について推量するための大きな集団
標本(サンプル)とは、母集団から選ばれた一部の人や物
母集団すべてを調査する方法=悉皆調査(全数調査)*国勢調査等
母集団の中から標本を抽出して調査する方法=標本調査 *国民生活基礎調査や国民健康・栄養調査等
標本抽出方法
- 単純無作為抽出法:乱数表等を使用してランダムに抽出
- 系統抽出法:最初の標本を無作為に抽出し、あとは一定の間隔で抽出
- 層化無作為抽出法:構成員の属性によって、いくつかの層に分け、それぞれ一定の率で抽出
- 多段抽出法:繰り返し無作為抽出を行い、最終的に個人を標本として抽出
- クラスター抽出法:繰り返し無作為抽出を行い、最終的に特定の集団(クラスター)を標本として抽出
疫学研究のデザイン:観察研究と介入研究に大別
〈観察研究〉
記述疫学:疾病の頻度や分布を記述し、仮説を設定
- 横断研究(断面研究)・・・一時点における曝露と発症の関連を調べる
- 生態学的研究(地域相関研究)・・・集団間で曝露と疾病頻度を比較する
分析疫学:記述疫学等でたてられた仮説を検証
- コホート研究・・集団の曝露群と非曝露群に分けて長期にわたり追跡し比較する
- 症例対照研究・・症例群(患者群)と対照群(非患者群)を設定し、過去にさかのぼって比較する
〈介入研究〉
臨床試験:介入を行うことで治療の効果等を評価
- ランダム化比較試験(RCT)・・介入群と対照群にランダムに分けて比較する
地域介入研究:地域住民を対象に介入の効果を評価
疫学研究の3段階
- 第1段階 記述疫学「現状の記述」
- 第2段階 分析疫学「仮説の検証」
- 第3段階 実験疫学「因果関係の決定(検証)」
横断研究:一時点における曝露と疾病発症との関連について調査
関連の時間性を把握することを目的としておらず、因果関係まではわからない
生態学的研究:大きな集団を単位として、異なる集団間の比較・観察を行う
2つの変数の相関関係を探索する方法(疾病の危険因子等を模索)
コホート研究:曝露群と非曝露群に分け、将来に向かって追跡比較する方法
- 前向き研究
- 罹患率の高い疾病に適している
- 原因不明の発症要因研究に適している(複数の疾病の研究ができる)
- 相対危険度(リスク比)、寄与危険度(リスク差)を計算できる
- 信頼性・妥当性が高い
- 長時間の観察が必要で、費用・労力が大きい
症例対照研究:過去の曝露状況を比較する方法
- 後ろ向き研究
- 発症頻度の低い疾病に適している
- リスク比の近似値としてオッズ比を用いることができる
- 信頼性・妥当性は低い
- 結果が出るまでの時間が短いため、費用・労力が小さい
介入研究:介入群と非介入群を比較して影響を研究する
介入と結果の時間的関係が明確であるが、発生頻度の低い疾病の研究には不向き
ランダム化比較試験(RCT)
介入研究の中でもエビデンスレベルが高い研究デザインである
システマティックレビュー
同じテーマの研究論文のデータを網羅的に収集し、一定の基準で選択・評価を行い、複数のエビデンスを統合する方法
個々のエビデンスごとに、妥当性や適用性を検証し統合することで、バイアスや偶然による影響を排除し、より信頼性の高い結果を導くことができる
メタアナリシス
同じテーマのランダム化比較試験(RCT)を収集し、それらを統合して統計学的に分析する方法(エビデンスが最も高い研究デザイン)
偶然誤差と系統誤差
〈系統誤差の例〉
- 自己選択バイアス:研究に参加するかどうかに偏りが生じること
- 思い出しバイアス:過去のことを思い出す正確さに偏りが生じること
- 調査者バイアス:調査者の情報の聞き取り方に偏りが生じること
- 診断バイアス:曝露の有無が診断に影響を与えること
偶然誤差の大きさを表す指標として、分散と標準偏差がある
信頼性と妥当性
- 信頼性とは「繰り返し検査を行っても同じ結果が得られるか」という結果の再現性・反復性を示す
- 妥当性とは「測定したいものを正確に測定できているか」を指し、敏感度・特異度が重要となる
偶然誤差が小さいほど信頼性が高くなり、系統誤差が小さいほど妥当性が高くなる
交絡とその制御法
交絡因子とは「曝露因子と疾病の双方に関係があるため、両者に見かけ上の因果関係をもたらす要因のこと」
妥当性を高めるために、ランダム化、限定、マッチング、層化、標準化等を行う
ランダム化とは偏りを避けるために、介入群と非介入群に無作為に割り付けることで、確率的に均等に割り振ること(交絡因子の制御ができる)
盲検法(ブラインド、マスキング)
参加者の誰が介入(曝露)群で、誰が非介入(非曝露)群かを参加者がわからないように割り付けて、バイアスを取り除くこと
特に研究実施者にも参加者にもどちらの群に属しているかわからなくすることを二重盲検という
限定(制限)
研究対象者をある特定の特徴を有した集団に限定すること
マッチング
性別や年齢、居住地域などを症例と一致させることをいう(少数の場合に用いることが多い)
層化(層別化)
交絡因子となり得る因子について、男女別、年齢階層別など、母集団をいくつかの均質な集団に分けて解析を行う方法
調査後の解析段階における制御法の一つ
標準化
2つ以上の集団で観察されるイベントの発生頻度を比較する場合に、基準集団を定め、主な交絡因子の影響を排除した指標を計算する方法
調査後の解析段階で用いられる
年齢調整死亡率:年齢という交絡因子の影響を排除し、年齢構成の異なる集団間の死亡率を比較する際に用いられる
直接法
観察集団の年齢調整死亡率を用いて計算するため、都道府県等の年齢階級別死亡率がわかる大規模な集団で適応される
年齢調整死亡率(直接法)=(観察集団の年齢階級死亡率✖️基準集団の年齢階級別人口)の各年齢階級の合計/基準集団の人口の総和 ✖️100,000
間接法
標準化死亡比(SMR)を用いる
市町村等の年齢階級別死亡率がわからない小規模な集団に用いられる
年齢調整死亡率(間接法)=基準集団の死亡率✖️(SMR÷100)✖️100,000
標準化死亡比(SMR):観察集団が基準集団と同じ死亡率であると仮定した時に、観察されるであろう死亡数(期待死亡数)と、観察集団の実際の死亡数との比
SMR=観察集団の死亡数/(基準集団の年齢階級別死亡率✖️観察集団の年齢階級別人口)の各年齢階級の合計✖️100
SMR=100・・・観察集団と基準集団の死亡水準が同じ
SMR>100・・・観察集団の死亡水準が基準集団の死亡水準より高い
SMR<100・・・観察集団の死亡水準が基準集団の死亡水準より低い
【hokenCから一言】
今回の内容は、保健師の国試にも頻出している領域だと思います。
私(hokenC)の場合、今は用語の理解を目的とした学習しか実施していませんが、一通り全科目のノート作成ができた段階で、国試の過去問をガンガン解きながらマスターしていきたいなと思っています。
現役の学生の皆さんであれば、ノート作成よりも問題集と向き合った作業の方が適していると思います。まだまだ追いつくことができていませんが、少しずつ少しずつ各科目の用語を思い出すことはできていると感じています。
今しがた、大雨警報が解除されました。
こうして自宅で学習ができる状態に感謝です。
次回はスクリーニングについてまとめていきたいと思います。
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