ごまごま保健室だより 第6号「母子保健」

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hokenCから

今回は母子保健についてまとめてみました。
昔から日本では「母子健康手帳」が発行されたり、独自の活動がなされていました。
本来であれば母子保健施策の歴史なども紹介できると良いのですが、紙面が足らなくなってしまいそうなので割愛しています。
私にも「母子手帳」があります。かなり黄ばんだ状態ですが、ワクチンの接種状況などが確認でき助かったことがあります。乳幼児期の健診記録では体重の増加が良好(?)で、マルマルとした子どもだったようです。その名残は今でもありますが、大切な記録の一つとなっています。
現在であればアプリを利用した便利なものがあると思いますので、予防接種のタイミングなども上手く活用しながら確実に接種できると良いですね。

 

21世紀の母子保健 〜健やか親子21〜

「健やか親子21」は平成13年からスタートした母子保健の取り組みです。
平成27年度からは「健やか親子21(第2次)」が始まり「すべての子どもが健やかに育つ社会」を10年後に目指すことを目標に、3つの基盤課題と2つの重点課題に向けて施策が展開しています。

基盤課題A:切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策

基盤課題B:学童期・思春期からの成人期に向けた保健指導

基盤課題C:子どもの健やかな成長を見守り育む地域

重点課題①:育てにくさを感じる親に寄り添う支援

重点課題②:妊娠期からの児童虐待防止対策

中間報告(令和元年)では、「妊娠・出産に満足している者の割合」「マタニティマークを妊娠中に使用したことがある母親の割合」「積極的に育児をしている父親の割合」が高くなって、目標を達成しています。
一方、「朝食を欠食する子どもの割合」「発達障害を知っている国民の割合」が低下・悪化している項目もあります。
また「十代の自殺死亡率」「児童・生徒における痩身傾向児の割合」「育てにくさを感じたときに対処できる親の割合」については変化なく、問題が継続しているものもあります。

母子保健法とはどんな法律?

昭和40年に制定した母子保健法は、母性・乳児・幼児の健康保持と増進を目的とした法律です。いろんな施策がありますが主に市町村で行われています。

どんなことが実施されているか?

  • 新生児の訪問指導:11条
  • 健康診査(幼児):12条・・・1歳6カ月児健診、3歳児健診
  • 健康診査(妊産婦、乳幼児):13条
  • 妊娠の届出:15条
  • 母子健康手帳の交付:16条
  • 妊産婦の訪問指導:17条
  • 低出生体重児の届出:18条・・・2,500g未満の乳児が出生した場合
  • 未熟児の訪問指導:19条
  • 未熟児養育医療:20条・・・入院が必要な未熟児(2,000g以下が対象)
  • 母子保健施設(母子健康包括支援センター)の設置:22条

不妊症・不育症への支援

  • 令和2年の「全世代型社会保障改革の方針」において、4年度から不妊治療が保険適用されるようになりました。
    一般的不妊治療における「人工授精」、生殖医療における「体外受精」や「顕微授精」などで実施される検査や治療が保険適用になりました。結果、エビデンスが認められている治療は保険の中に収載されて、今後エビデンスの積み重ねが必要なものは「先進医療」として申請することになっています。不妊治療における経済的負担はかなり多額なものになっていると思いますので、少しでも負担が軽減すると良いですね。
  • 不育症に悩んでいる人(2回以上の流産・死産の既往がある人)が、子どもを産み育てたいという希望をかなえるために、令和2年に関係省庁による「不育症対策に関するプロジェクトチーム」が報告をまとめています。
    先進医療の仕組みを活用して認められた不育症検査を実施し、1回につき5万円を上限として助成が行われるようになっています。
  • 不妊症・不育症への相談支援としては、令和4年度から女性健康支援センターと統合して、性と健康の相談センター事業の中に位置づけられました。ここでは、①医療機関や自治体で構成される協議会の実施、②不妊症・不育症の社会心理的支援に係るカウンセラーの配置、③当事者団体等におけるピアサポート活動への支援などを対象に、補助額の加算ができるようになっています。
    つまり、きめ細かな支援を実施するための体制づくりに国の予算がついたということになります。

母子保健トピックス:出生前検査について

出生前検査は胎児の状況を正確に把握して、将来の予測を立て妊婦とそのパートナーの家族形成のあり方に関わる意思決定を支援する目的で実施されています。

検査については「確定的検査」(羊水検査、絨毛検査)と、診断が確定できない「非確定検査」(母体血清マーカー検査、コンバインド検査、NIPT、胎児超音波検査)に大きく分かれます。
中でもNIPT(Non Invasive Prenatal genetic Testing)の導入は、出生前検査のあり方を大きく変化させたといわれています。令和3年の「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書」では、ノーマライゼーションの理念を踏まえた上で、妊婦やそのパートナーに誘導とならない形で情報提供を行うことが適当であるとの見解を示しています。
また行政においては、性と健康の相談センター事業の一部として受検を検討している人に対して、相談・支援ができるような体制整備が図られるようになっています。

科学の進歩によって様々な恩恵を受けている私たちではありますが、NIPTの検査結果によっては、新たなる苦悩が沸き立つ機会にもなり得ます。
母子の存在を中心に家族間で十分話し合い、医師やその他の医療職、心理の専門家の支援をベースに今後の選択ができるようになることを望みます。

【 文 献 】

一般財団法人 構成労働統計協会「国民衛生の動向・厚生の指標 増刊・第69巻9号 通巻第1081号」、2022、P 97-106

荒井 直子 他 編:「公衆衛生看護学.jp  第5版 データ更新版」、インターメディカル、2022、P234-259

医療情報研究所 編:「公衆衛生がみえる 2022-2023」、メディックメディア、2022、P200-229

医療情報科学研究所 編:「保健師国家試験のためのレビューブック 2023 第23版」、メディックメディア、2022、P 68-104

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