難病保健について過去問題チャレンジしました。
難病に関しては事例問題(状況設定問題)が出題されることもあるため、ALSやパーキンソン病などの進行度・分類について理解しておく必要性があると思います。
制度的なものについては自己負担額の変更など、各種法規や指針の変更がないか押さえておきたいところですね。
国試については他の科目とのバランスもありますが、時間配分を工夫して学習しておかなくてはなりません。
特に人工呼吸器の管理や停電時の対応(=健康危機管理)を地域でどのように行うのか考えておくことも大切です。
現場の保健所保健師ならば難病保健は必須の領域ですね。
過去問題・予想問題・状況設定問題を解いてみました
難病対策、難病対策地域協議会、ALS患者の在宅ケア支援、難病相談・支援センター、ボランティア育成の研修内容
(以下、状況設定問題です)
パーキンソン病療養者の支援、脊髄小脳変性症患者の支援、難病患者とその家族の援助、医療費助成、ALS患者の在宅ケア
ALSやパーキンソン病に関する基礎知識が必要ですね。

難病保健の制度
この辺は基本事項だよ
日本の難病対策は、全国で多発したスモンに対する研究が契機となり、昭和47(1972)年に難病対策要綱が策定された。
- 調査研究の推進
- 医療施設の整備
- 医療費の自己負担の軽減
- 地域における保健医療福祉の充実・連携
- QOLの向上を目指した福祉施策の推進
難病法:平成27(2015)年「難病の患者に対する医療等に関する法律」制定
難病とは、①発病の機構が明らかでなく、②治療方法が確立していない、③希少な疾病であって、④長期の療養を必要とするものをいう(1条)
指定難病は令和3(2021)年11月時点で、338疾患が対象
①患者数が一定の人数に達していない
②客観的な診断基準が確立しているという2つの要件を満たす疾患である(人口のおおむね1,000分の1程度に相当)
難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針:厚生労働大臣が定める
医療費助成制度、医療を提供する体制の確保、人材養成、調査・研究、医薬品・医療機器・再生医療等の研究開発、療養生活の環境整備、福祉サービスに関する施策、就労の支援等について方針を定める。
難病対策地域協議会:都道府県、保健所を設置する市および特別区は設置(努力義務)
地域の実情に応じた支援体制の整備について協議する。
関係機関、関係団体、難病患者とその家族、医療・福祉・教育もしくは雇用に関連する職務に従事する者で構成されている。
難病医療費助成制度
自己負担が2割になったけど上限額があるよ
難病法の施行に伴い、患者の自己負担が3割から2割になり、自己負担上限額が設定された。
上限額は世帯の所得に応じて設定されている。
医療費助成は都道府県・指定都市が指定医療機関が行う特定医療に対して行われる。
特定医療費の支給に要する費用は都道府県と国が50%ずつ負担している。
療養生活環境整備事業(難病法28条、29条):都道府県・指定都市が実施主体
- 難病相談支援センター事業(相談・支援、地域交流活動の促進、就労支援を行う拠点)
- 難病患者等ホームヘルパー養成研修事業
- 在宅人工呼吸器使用患者支援事業

医療費助成の対象疾患
潰瘍性大腸炎
若年者に好発し、下痢や粘液便、腹痛、貧血等を起こし、再燃と寛解を繰り返す。
食事は消化しやすく高エネルギー、高タンパク、低脂肪、低残渣食を基本とする。
全身性エリテマトーデス(SLE)
多臓器障害性の慢性炎症性疾患で、再燃と寛解を繰り返す(遺伝的素因を背景に感染や紫外線などの環境因子が誘因となって自己抗体を産出することによって起こる)
発熱、全身倦怠感、体重減少、顔面の蝶形紅斑などの症状、20〜40歳代の女性に好発
過労・ストレス・日光曝露・外傷・感染・妊娠・出産・寒冷等が増悪因子となる。
ALSについては看護の基礎についても学習しておこう
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
50歳代以降(男女比は1.3:1)
進行すると呼吸筋麻痺、四肢麻痺が生じ、誤嚥性肺炎や呼吸不全で死亡することが多い。
症状は上肢の筋力低下、歩行障害、構音障害、嚥下障害
(発症からの生存期間の中央値は20〜48ヶ月)
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症
運動症状や起立性低血圧などの自律神経症状が出現し、緩徐進行性に経過。
脊髄小脳変性症は孤発性と遺伝性に大別(孤発性の大部分は多系統萎縮症が占めている)
摂食嚥下障害から胃ろう造設や、排痰困難・声帯外転麻痺から気管切開が必要になる。
神経変性疾患の患者に対する支援
ALS、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、パーキンソン病などは「介護保険法」で定められた特定疾病で、40〜64歳でも介護保険サービスの対象となる。
保健師は特有の症状(筋力の低下、運動失調、認知機能障害等)の程度や進行などを確認し、生活に必要な支援を行う。
難病患者に対する支援:保健所保健師の役割
保健所における難病保健活動
- 医療費助成申請(窓口相談)
- 療養・生活の相談支援
電話相談、訪問相談・指導、情報提供、講演会開催、在宅療養支援計画策定・評価、専門医との医療相談機会の設定等 - 地域組織づくり(患者会・家族会支援等)
- 地域ケアシステムづくり
難病対策地域協議会の実施、在宅ケア従事者への研修会、災害時の体制づくり等
- 保健師は難病患者の支援実績を把握し、地域に不足しているサービスや既存資源の有効活用について検討し、システムを構築する。
- 疾病の進行度や機能障害の程度を把握し、今後の状態を予測して、進行に合わせた保健医療福祉サービスを紹介する。
- 生命の危険に対し、異常の早期発見・悪化の予防が求められ、また緊急時の連絡体制も確認しておく必要性がある。
- 患者や家族は疾病の受容への葛藤や今後の進行に対する不安があり、心理的負担が大きい。保健師は心身両面への支援を行う。
- 難病により家族役割の変更や社会生活の変化が生じる可能性がある。保健師は患者だけでなく家族のそれぞれの思いや生活状況を把握し、療養環境・支援体制を整える。
人工呼吸器を装着した療養者への支援
- 在宅療養支援の体制づくりでは、在宅訪問診療を担うかかりつけ医、人工呼吸器管理が可能な訪問看護師の確保が重要である。
- 緊急連絡先リストを作成
- 電力会社や医療機器供給会社に、停電時の対応を相談する。
- 災害時に自宅待機することも想定して、非常用電源の確保や医療機器の準備、定期点検等を含めた個別支援計画を作成する。
- 外出を希望する場合は、問題点を事前に整理しておく(患者・医師・看護師とともに)

標準保健師講座』編集室:「2023年版 医学書院 保健師国家試験問題集」、医学書院、2022、P270-283
医療情報科学研究所:「クエスチョン・バンク 保健師国家試験問題解説 2023 第15版」メディックメディア、2022
一般財団法人 構成労働統計協会「国民衛生の動向・厚生の指標 増刊・第69巻9号 通巻第1081号」、2022
医療情報科学研究所 編:「保健師国家試験のためのレビューブック 2023 第23版」、メディックメディア、2022
医療情報研究所 編:「公衆衛生がみえる 2022-2023」、メディックメディア、2022
荒井 直子 他 編:「公衆衛生看護学.jp 第5版 データ更新版」、インターメディカル、2022
車谷典男・松本泉美 編:「疫学・保健統計ー看護師・保健師・管理栄養士を目指すー」健帛社、2016
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