医療保障制度と法:心理師・保健師・看護師を目指す人のための自習室

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今回は精神保健や高齢者保健に関わる医療制度を中心に学習を行いました。いろんな法律が出てくるので少しお堅い印象のページになっているかもしれません。

心理師

医療関連の制度や法律は心理師のお仕事を進める上で欠かせない知識となっています。
公認心理師が国家資格化してからはさらに、様々な医療機関等で勤務する心理師が多くなってきています。

看護師

保健医療福祉の制度については、必ず国試に出てきますので基礎的な内容については把握し理解しておくことが重要です。

目次

医療法:1948(昭和23)年制定

この法律の目的は?

  1. 医療を受ける者の利益を保護すること
  2. 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保すること
  3. 国民の健康の保持に寄与すること

医療を提供する上での理念は?

  1. 生命の尊重と個人の尊厳の保持
  2. 医師等と医療を受ける側との信頼関係
  3. 心身の状況に応じて行うこと
  4. 医療は良質のものでなければならない

20床未満を診療所、20床以上を病院と呼ぶ。
病床の種類は療養病床、一般病床、精神病床、感染症病床、結核病床の5つ。
病院等の管理者は、医療事故が発生した場合、調査を行い医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。

医師法第24条 :
「医師は診療をしたときは、遅延なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」
診療録は5年間保存しなければならない。

健康増進法:2002(平成14)年制定、2018年より改正法が段階的に施行

この法律の目的は?

国民の栄養の改善その他の健康の増進を図るための措置を講じ、国民保健の向上を図ること。

国民の責務:健康な生活習慣の重要性に対して関心と理解を深め、生涯にわたり自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めること。

国及び地方公共団体の責務とは?

健康の増進に関する正しい知識の普及
情報の収集・整理・分析・提供・研究の推進
人材の養成・資質の向上
必要な技術的援助を与えること

第24条に受動喫煙防止について付け加えられた項目があります。

精神保健福祉法:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

1950(昭和25)年に「精神衛生法」 ⇨ 1987年改正・改称により「精神保健法」
⇨ 1995年改正・改称により「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)」に変更。

第一条:
この法律は精神障害者の医療及び保護を行い、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律と相まってその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによって、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。

対象:(第5条)
統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者

  • 精神保健福祉センター:第6条
    都道府県は、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るため、精神障害者に関する相談や知識の普及等を行う
  • 地方精神保健福祉審議会:第9条
    調査審議するため、都道府県は条例でこれを置くことができる
  • 精神医療審査会:第12条
    措置入院患者等の定期病状報告や、入院患者又はその家族等からの退院等の請求に対する応諾の可否等の審査等を行う
  • 精神保健指定医:第18条
    厚生労働大臣は、申請に基づき、措置入院や医療保護入院の要否、行動の制限等の判定を行うのに必要な知識及び技能を有すると認められる者を、精神保健指定医に指定する

精神保健指定医とは

*5年以上診断又は治療に従事した経験を有すること
*3年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有すること
*厚生労働大臣が定める程度の診断又は治療に従事した経験を有すること
*厚生労働大臣の登録を受けた者が研修の課程を修了していること
(資格は5年ごとの更新制になっている)

入院形態(精神科)

任意入院:第20条、第21条

患者が告知内容を了解し、自ら任意の形で行う入院形態。
病状が悪化するなど、精神保健指定医が入院の継続を要すると判断した場合は、72時間に限り退院を制限できる。

医療保護入院:第33条

家族等のうちいずれかの者の同意があるときは、本人の同意がなくても入院させることができる。
家族等とは配偶者、親権者、扶養義務者、後見人または保佐人を指し、該当者がいない場合は市町村長となる。

平成25年の精神保健福祉法改正で、病院は医療保護入院者の退院に向けて、退院後生活環境相談員を専任することが義務付けられています。

応急入院:第33条4

入院が必要であるが、家族等に連絡をとることができず同意が得られない、かつ自傷・他害のおそれのない場合は本人の同意がなくとも、精神保健指定医診療により72時間に限り、応急入院指定病院に入院させることができる。

措置入院:第29条

自傷・他害のおそれがある精神障害者を都道府県知事の権限で精神科病院に入院させる制度。
精神障害の疑いがある者を発見した者は、通報後2名以上の精神保健指定医診療により措置入院が必要と判断が一致した場合に入院させることができる。

緊急措置入院:第29条1

精神保健指定医1名のみの診断で72時間に限り入院させることができる。

措置解除:第29条4、5

自傷・他害のおそれが消失したと認められる場合は、措置入院者の症状消退届を都道府県知事に提出することで退院させられる。

退院制限:第22条3

任意入院の患者から退院請求があるものの退院させられないと診断・判断があれば、72時間を限度に退院を制限できる。
72時間を経過後も入院継続が必要な場合は医療保護入院等に切り替える必要がある。

行動制限

隔離

12時間を超えない隔離については医師であれば行うことができる。
12時間を超える場合は精神保健指定医による診察が必要。

身体拘束

自殺企図・自傷のおそれが著しく切迫した際や多動・不穏が顕著である場合などは身体拘束を行うことができるが必要最小限いとどめるべき。
身体拘束を行った旨、その理由、開始と解除の日時などを精神保健指定医が診療録に記載する。

通信面会

人権を擁護する行政機関職員や代理人の弁護士との電話や面会の制限はできない。

医療観察法:心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律
2003(平成15)年に制定、2005年に施行

心神喪失などの状態で、殺人、傷害、放火などの重大な他害行為を行った者に対し、病状改善と再発防止、社会復帰促進を目的に継続的かつ適切な医療とその確保のために必要な観察及び指導を行うこと。

医療保障制度

  • 医療保険:
    被用者保険(健康保健・船員保険・共済保険)、国民健康保険、後期高齢者医療制度(75歳以上の者)
  • 公費負担医療:
    医療扶助(生活保護法)、障害者の自立支援医療、感染症法(1・2類感染症)、精神保健福祉法(措置入院)、母子保健法(未熟児養育医療)

医療保険の給付

  • 医療給付(現物給付):療養の給付、高額療養費
  • 所得保障(現金給付):療養費、傷病手当金、出産手当金、出産育児一時金、埋葬料、移送費
  • 給付対象にならないもの:正常分娩、予防接種、健康診断、人間ドック、介護サービス

医療費の自己負担割合

  • 0〜小学校就学:2割
  • 小学校就学〜70歳:3割
  • 70〜75歳:2割(現役並み所得者は3割負担)
  • 75歳以上:1割

公費医療の種類と対象

  • 国家賠償的
    戦傷病者への療養の給付・更生医療
    被曝に関する白血病、肺癌などの認定疾病医療
    予防接種による健康被害の救済措置
  • 社会防衛的
    新感染症による入院
    1・2類感染症による入院
    結核の適正医療
    精神障害者の措置入院
    麻薬中毒患者の措置入院
  • 社会福祉的
    生活保護の医療扶助
    障害者の自立支援医療
    結核児童の療養給付
    小児慢性特定疾病医療費助成制度
    未熟児の養育医療
  • 難病対策
    指定難病医療費助成制度

高齢者医療確保法:高齢者の医療の確保に関する法律 1982(昭和57)年〜

この法律の目的は?

  1. 適切な医療の確保
  2. 医療費の適正化を推進
  3. 保険者による健康診査等の実施

運営主体:後期高齢者医療広域連合
対象:75歳以上の高齢者、65歳以上75歳未満で一定の障害状態にあると広域連合が認めた者
自己負担:1割であるが現役並みの取得者は原則3割負担

医療介護総合確保推進法:「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」
2014年に成立

  • 新たな基金の創設と医療・介護の連携強化
    地域医療介護総合確保基金を設置、基本方針の策定(厚生労働大臣)
  • 「医療法」の改正
    病床機能報告制度の創設、地域医療構想の策定、地域医療支援センターによる医師確保支援
  • 「介護保険法」の改正
    地域包括ケアシステムの構築、費用負担の公平化
保健師

保健師国家試験では「保健医療福祉行政論」の出題が多く見受けられます。是非とも、復習を兼ねて以下のページを一読しておいてください。

文 献

一般財団法人 構成労働統計協会(2022)「国民衛生の動向・厚生の指標 増刊・第69巻9号 通巻第1081号」 .
医療情報研究所 編(2022)「公衆衛生がみえる 2022-2023」メディックメディア.
IPSA心理学大学院予備校(2022)「公認心理師試験対策標準テキスト’22〜’23年版」秀和システム P301-311 .
IPSA心理学大学院予備校(2022)「過去問5回分+実力養成用科目別練習問題 公認心理師試験対策 2022年版」秀和システム.
標準保健師講座 編集室(2022)「2023年版 医学書院 保健師国家試験問題集」医学書院.
医療情報科学研究所(2022)「クエスチョン・バンク 保健師国家試験問題解説 2023 第15版」メディックメディア.
医療情報科学研究所 編(2022)「保健師国家試験のためのレビューブック 2023 第23版」メディックメディア .
荒井 直子 他 編(2022)「公衆衛生看護学.jp  第5版 データ更新版」インターメディカル.
車谷典男・松本泉美 編(2016)「疫学・保健統計ー看護師・保健師・管理栄養士を目指すー」健帛社.
下山 晴彦 編(2014)「誠心 心理学辞典(新版)」誠信書房.

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