統合失調症について:保健師・看護師・心理師国家試験対策ノート

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今回は統合失調症についてまとめてみました。
この疾患は看護学でも心理学でも国試によく出題される傾向があります。
特に事例問題などは病態の理解だけでなく、どのように対応することが最も適しているのか・・といったセンスが問われているようです。

心理師

7月に実施された国家試験でも何問か出題されていました。
統合失調症については精神疾患の中でも最も代表的なものとして学習しています。

目次

統合失調症の誘因・原因:遺伝要因と環境要因の両方が関係している

統合失調症は脳神経の疾患で、神経伝達物質のバランスに異常が生じて発症します。
遺伝的な脆弱性や、社会生活における過剰なストレスを契機に精神的・身体的バランスが崩れ不調を呈するようになります。

症状・経過

病態としては思考障害、自我障害、感情障害、人格障害などが主な病態です。

人口の約1%が発病し、男女差はなく、思春期に多く発症します。⇨ 好発年齢は18歳
中には30〜40歳代になってから発症する人もいます。
症状は「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」があるといわれています。

*統合失調症の精神症状*

被害妄想、関係妄想、嫉妬妄想、誇大妄想、憑依妄想、心気妄想、注察妄想、罪業妄想
被愛妄想、迫害妄想、妄想気分、観念奔逸、連合弛緩、思考途絶、思考吹入、自生思考、思考奪取 など

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こんな経過をたどります

前兆期:眠れなくなったり、光や音などの刺激に敏感になったり、精神的に不安定な状況になる。

急性期:幻覚や妄想、興奮状態などの陽性症状が目立つ時期です。

休息期:陽性症状がおさまり、逆に感情が乏しくなったり、無気力になったりします。
陰性症状が目立って、引きこもったような状況になります。

回復期:徐々に意欲が回復するなど、症状が和らいでいきます。
社会復帰を目指す時期ですが、症状が残ったり、認知機能の障害が出現してきたりします。

検査・診断・分類

診断は主に陽性症状や陰性症状によって定められていて、客観的な身体症状や検査所見はまだ発見されていません。
診断補助としてはMRIや近赤外線スペクトロスコピー法(NIRS)などが開発されています。
分類としてはクレペリンやブロイラー、シュナイダーらによって特異的な精神症状がとりあげられています。

ブロイラーの4つのA

観念連合の障害:Association
観念や考えを統合することが難しくなって、考えや言語、行動にまとまりがなくなり、支離滅裂な発言や奇妙なコミュニケーションを取るようになる(連合弛緩・滅裂思考)

自閉性:Autism
現実世界から離れ、対人関係を持つことを極力避けて社会との接触を絶ってしまう障害(拒絶・自閉)

感情の障害:Affect
感情が薄くなって感じにくくなったり、感情を表現したりしなくなったりする障害(感情鈍麻・感情の平板化)

両価性:Ambivalent
好き嫌い、愛と憎しみのような矛盾する感情を同時に抱く状態で、結局どうすればいいのかわからなくなる障害(アンビヴァレンス)

シュナイダーの一級症状

考想化声
自分の考えが他者の声のように聞こえること

問答形式の幻聴
複数の他者に噂されているような幻聴

自分の行為に伴って絶えず口出しする形の幻聴
自分の行動や言動に対して、非難されるような幻聴

身体への被影響体験
自分の身体に対して何かをされるような体験

思考奪取やその他の思考領域での被影響体験
自分の考えが抜き取られ、操作されているような体験

考想伝播
自分の考えが他者に伝わってしまうような体験

妄想知覚
周囲の物事や出来事を妄想的に関連づけること

感情や衝動や意志の領域におけるその他の行為や被影響の体験
「させられ体験」とも呼ばれ、自分の感情や行動が他者によって操られているような体験

治療

薬物療法、精神療法、リハビリテーションを組み合わせて治療が行われています。

薬物療法としては、抗精神病薬が使用され、①陽性症状(幻覚や妄想)を改善する、②混乱や興奮を軽減する、③陰性症状の改善を目指す、という3つの作用があり、再発を予防する上でも効果があると考えられています。
また、その他にも抗不安薬、気分安定薬、睡眠導入剤などを用いることもあります。

統合失調症には完全な「治癒」がないとされており、「寛解」という言葉を用います。
寛解とは陽性症状の目立った時期から脱却して、社会復帰を目指せる状態まで症状が緩和したことをいいます。

精神療法(個人・集団)では認知行動療法、修正型電気けいれん療法(modified ECT)やリハビリテーションなどが行われています。

予後

20〜30%の患者が治癒し、40〜50%の患者が中等度の症状が持続しますが、一応の社会復帰が可能な水準まで回復します。
20〜30%の患者に関しては、治療困難で生活水準に重大な荒廃をきたす重い症状が続きます。

看護師

経過・予後には個人差がありますが、病院を退院してから地域で暮らす
患者さんが少しずつ増えてきています。

文 献

一般財団法人 構成労働統計協会(2022)「国民衛生の動向・厚生の指標 増刊・第69巻9号 通巻第1081号」 .
医療情報研究所 編(2022)「公衆衛生がみえる 2022-2023」メディックメディア.
IPSA心理学大学院予備校(2022)「公認心理師試験対策標準テキスト’22〜’23年版」秀和システム P460-468.
IPSA心理学大学院予備校(2022)「過去問5回分+実力養成用科目別練習問題 公認心理師試験対策 2022年版」秀和システム.
標準保健師講座 編集室(2022)「2023年版 医学書院 保健師国家試験問題集」医学書院.
医療情報科学研究所(2022)「クエスチョン・バンク 保健師国家試験問題解説 2023 第15版」メディックメディア.
医療情報科学研究所 編(2022)「保健師国家試験のためのレビューブック 2023 第23版」メディックメディア .
荒井 直子 他 編(2022)「公衆衛生看護学.jp  第5版 データ更新版」インターメディカル.
落合慈之 監修(2015)「精神神経疾患ビジュアルブック」学研メディカル秀潤社 P180-191.

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