「国民衛生の動向 2022/2023」を読む❷:生命表・受療状況・医療対策

hokenC

今回は9月に取り組んでいた「国民衛生の動向 2022/2023」の生命表・受療状況・医療対策等のまとめをしています。
国家試験には何年度のデータが出題されるのかわかりませんが、重要な内容が掲載されています。

保健師

過去問題を解きながら、時々「国民衛生の動向」の内容を確認すると、さらに理解が深まると思います。

goma

「国民衛生の動向 2022/2023」を読む❶ も、あわせて読んでみてね。

目次

生命表:P72

生命表とは

作成基礎期間における死亡状況が一定不変と仮定したとき、同一時点で発生した出生児集団が死亡減少していく過程で、各年齢の生存者が平均してあと何年生きられるか、定常状態の人口構造はそのような様相を示すかなどを、死亡率、生存数、平均余命などの生命関数によって表したものをいいます。

特に0歳の平均余命である平均寿命は、全年齢の死亡状況を集約したものであり、保健福祉水準の総合的指標として広く活用されています。

完全生命表と簡易生命表

完全生命表とは

昭和35年に公表された第10回生命表(昭和30年)以降、5年ごとに行われる国勢調査年次の人口動態統計と国勢調査人口に基づき作成する形態が定着しています。

簡易生命表とは

人口動態統計(概数)と推計人口を用いて作成され、計算方法も簡略化されています。
毎年作成され、公表時期が比較的早く、最近の平均余命などの動向をみるのに適しています。

平均余命:P73-74

平均余命の推移

第6回生命表(昭和10年・11年)によると男46.92年、女49.63年で、昭和22年の臨時国勢調査をもとに作成された第8回では、男50.6年、女53.96年と延びをみせていました。

令和2年の第23回生命表によると、男の平均寿命は81.56年、女が87.71年という結果で男女とも前回を上回る延びが確認されています。
また男女それぞれ10万人出生に対して65歳の生存数は男89,734人、女94,580人となっています。
75歳までは男76.0%、女88.4%、90歳までは男28.1%、女52.6%が生存するという計算になっています。

死因の分析:P74-75

死因別死亡確率 令和2年簡易生命表から

0歳では男女とも悪性新生物(腫瘍)が最も高く、次いで男では心疾患、肺炎、脳血管疾患、女では心疾患、脳血管疾患、肺炎の順位なっています。
65歳では男女とも0歳に比べて悪性新生物の死亡確率が低く、心疾患の死亡確率が高くなっています。

0〜4歳の死亡率の改善は、特に乳児死亡率の低下に負うところが大きく、昭和40年前半ごろで寿命の延びの最大の要因となりました。

近年の平均寿命に関しては、男女とも60歳以上の死亡率の改善によるところが大きいといえます。
今後は中高年層における生活習慣病による死亡率の動向に左右される傾向が当分続くと考えられています。

健康状態(令和元年国民生活基礎調査):P76-78

有訴者の状況

有訴者率とは病気やけが等で自覚症状のある者(人口千人あたり)の数をいいます。
男270.8、女332.1という結果で、症状としては男では腰痛、肩こり、鼻がつまる・鼻汁が出る、の順になっています。女では肩こりが最も多く、次いで腰痛、手足の関節が痛む、の順になっています。

通院者の状況

通院者率とは通院している者(人口千人あたり)の数のことをいいます。
男388.1、女418.8という結果で、傷病別でみると、男では高血圧症、糖尿病、歯の病気の順、女は高血圧症、脂質異常症、眼の病気の順になっています。

悩みやストレスの状況

12歳以上の者(入院者を除く)で日常生活に悩みやストレスがある人の割合をみると、ある47.9%、ない50.6%という結果でした。
年齢階級別にみると男女とも30代から50代が高いという傾向がみられました。

健診や人間ドックの受診状況

過去1年間の健診や人間ドックを受診した20歳以上の者は69.6%で、男女とも50〜59歳の者が最も受診しており、男81.8%、女73.2%という結果でした。

がん検診の受診状況

40〜69歳の者(子宮がん検診は20〜69歳)について、過去1年間に受診した者をみると、男女とも肺がん検診が最も高く、男53.4%、女45.6%という結果でした(令和元年)

  • 胃がん:男48.0%、女37.1%
  • 肺がん:男53.4%、女45.6%
  • 大腸がん:男47.8%、女40.9%
  • 子宮がん:女43.7%
  • 乳がん:女47.4%

受療状況(令和2年患者調査):P78-81

患者調査は全国の医療施設を利用する患者の傷病などの状況を把握するため、3年に1度実施されています。
調査日は10月中旬の3日間のうち医療施設ごとに定めた1日、退院患者は9月中の1ヶ月であり、医療施設の管理者が記入する方式をとっています。

  1. 推計患者数:入院患者が121.1万人、外来患者が713.8万人
  2. 受療率:人口10万人に対する推計患者数で、入院受療率は960、外来受療率は5,658でした。
    年齢別の入院では90歳以上が6,706と最も高くなっており、外来では男80〜84歳が12,077で最も高く、女は75〜79歳の11,843が最も高くなっていました。
    傷病分類別でみると、入院では精神及び行動の障害(188)循環器系の疾患(157)が高く、外来では消化器系の疾患(1,007)、健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用(794)が高いという結果でした。
  3. 退院患者の平均在院日数:病院33.3日、一般診療所19.0日という結果で、平成29年よりも増加しています。
  4. 入院患者の重症度:「生命の危険がある」5.6%、「生命の危険は少ないが入院治療、手術を要する」76.7%という結果でした。
  5. 総患者数(傷病別推計):「循環器系の疾患」が2041.1万人で最も多く「糖尿病」が579.1万人、「悪性新生物」が365.6万人、「心疾患(高血圧性のものを除く)」が305.5万人という結果でした。
  6. 受療行動調査:「予約をした」のが77.4%で前回よりも6.0ポイント上昇しています。
    満足度に関しては「満足」とした者は外来で64.5%、入院で68.9%、「不満」とした者は外来で3.8%、入院で4.9%という結果でした。

医療計画における5事業の対策:P180-183

救急医療

消防法、救急救命法、救急出動594万件(令和2年)

  • 初期救急:在宅当番医制607地区、休日夜間救急センタ−551カ所(令和2年4月1日現在)
  • 二次救急:病院群輪番制度398地区(令和2年4月1日現在)
  • 三次救急:救命救急センター299カ所(令和4年4月6日現在)

災害時医療

災害対策基本法、厚生労働省防災業務計画

  • 災害拠点病院765カ所(令和4年4月1日現在)
  • 災害派遣医療チーム(DMAT)
  • 災害派遣精神医療チーム(DPAT)

へき地医療

無医地区590地区・126,851人(令和元年10月31日現在)
へき地保健医療対策等実施要綱

  • へき地医療拠点病院341施設(令和3年4月1日現在)
  • へき地診療所1,108施設(令和3年4月1日現在)

周産期医療

母子保健法、低体重児(2.5kg未満)男8.2%、女10.3%(令和2年)
妊娠期間早期(満37週未満)の出生数46,102(5.5%)(令和2年)

  • 総合周産期母子医療センター112カ所(令和4年4月1日現在)
  • 地域周産期母子医療センター296カ所(令和4年4月1日現在)
  • 子育て世代包括支援センター2,451カ所(令和3年4月1日現在)

小児医療

児童福祉法、母子保健法、健やか親子21(第2次)

  • 小児救急医療拠点病院31カ所(令和2年4月1日現在)
  • 小児救命救急センター18カ所(令和3年4月1日現在)
  • 小児慢性特定疾病の医療費助成対象 16疾患群788疾病(令和3年11月1日現在)
  • 移行期医療支援センター
  • 子ども医療電話相談事業(#8000事業)77万件(令和2年度)
  • 児童相談所 228カ所(令和4年4月1日現在)

主要疾病の対策:P155-164

がん

がん対策基本法、がん対策推進基本計画、がん登録等の推進に関する法律

  • がん診療連携拠点病院408カ所(令和4年4月)
  • 地域がん診療病院45カ所(令和4年4月)
  • 診断時からの緩和ケアの推進
  • がん登録の推進
  • がん相談支援センター

循環器病(脳卒中・心疾患)

循環器病対策基本計画、脳血管疾患が原因の介護が必要になった割合16.1%(令和元年)

  • 特定健康診査・特定保健指導
  • 救急医療体制の整備
  • 高血圧対策

糖尿病

健康日本21(第二次)、健康増進法、糖尿病性腎症が原因の新規透析導入患者数15,690人(令和2年)

  • 特定健康診査・特定保健指導
  • 市町村の健康増進事業
  • 糖尿病性腎症重症化予防プログラム

精神疾患

精神保健福祉法(入院医療)、認知症施策推進大綱、障害者総合支援法(精神通院医療)、心神喪失者等医療観察法、発達障害者支援法、こころのバリアフリー宣言

  • 認知症初期集中支援チーム、認知症疾患医療センター、認知症サポート医、成年後見制度等
  • 精神障害に対応した地域包括ケアシステム
  • 精神保健福祉センター69カ所(令和3年2月)
  • 精神障害者保健福祉手帳所持者118万人(令和3年3月)

難病

難病の患者に対する医療等に関する法律、障害者総合支援法、特定医療費(指定難病)受給者証所持者数103.8万人(令和2年末)

  • 指定難病338疾病(令和3年11月)
  • 難病診療連携拠点病院79カ所(令和3年4月)
  • 難病相談支援センター

感染症

感染症法、検疫法、予防接種法、肝炎対策基本法/基本計画、新型インフルエンザ等対策措置法

  • 感染症発生動向調査
  • 検疫所総数110カ所、海港80カ所、空港30カ所(令和4年4月)
  • エイズ治療拠点病院378カ所(令和4年4月1日現在)
  • 予防接種健康被害救済制度
  • 新型コロナウイルス感染症対策

腎疾患

腎疾患対策の更なる推進を目指して、障害者総合支援法、臓器移植法、新規透析導入患者347,671人(令和2年12月31日現在)

  • 人工腎臓装置の整備
  • 慢性腎臓病(CKD)対策
  • 臓器移植ネットワークの整備
  • 糖尿病性腎症重症化予防プログラム

医療関係者の実数:P194-209

医療関係者の実数と人口10万人あたりの率(令和2年12月31日現在)

*厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」「衛生行政報告例」
 医師・歯科医師・薬剤師数は届出数、それ以外は就業者数

  • 医師:339,623人、269.2(10万対)
  • 歯科医師:107,443人、85.2
  • 薬剤師:321,982人、255.2
  • 保健師:55,595人、44.1
  • 助産師:37,940人、30.1
  • 看護師:1,280,911人、1015.4
  • 准看護師:284,589人、225.6
  • 歯科衛生士:142,760人、113.2
  • 歯科技工士:34,826人、27.6
  • あん摩マッサージ指圧師:118,103人、93.6
  • はり師:126,798人、100.5
  • きゅう師:124,956人、99.1
  • 柔道整復師:75,786人、60.1

看護職員について

  • 平成4年に看護師等の人材確保に関する法律が成立しています。
  • 令和7(2025)年における看護職員の需給推計値は、需要は188万〜202万人、供給は175万〜182万人が見込まれています。これでは足らないですね。
  • 令和3年度に部会を開催し、「保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版」を取りまとめ、5年実施の試験より適用されることになっています。
  • 今後の課題としては、「復職支援と定着・離職防止対策」「看護師等の資質向上」「外国人看護師候補者の受け入れ」などがあります。
  • 医療介護総合確保推進法により、保健師助産師看護師法が改正され、平成27年から「特定行為に係る看護師の研修制度」が開始しています。
    研修修了者は4,832人(令和4年3月時点)
  • 専門看護師は、「がん看護」などの13の専門看護分野ごとの専門性を発揮しながら、実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の役割を果たす活動をしています。
  • 認定看護師は、「救急看護」など21の認定看護分野ごとの専門性を発揮しながら、実践・指導・相談の役割を果たす活動をしています。
  • 認定看護管理者は、病院や介護老人保健施設などの管理者として必要な知識を持ち、患者や家族や地域住民に対して質の高いサービスを提供できるよう組織を改革し、発展させることができる能力を有すると認められた看護師として活動をしています。

医療施設数と病床数:P210-215

医療施設数(令和2年10月1日現在) 厚生労働省「医療施設調査」

病院:8,238

  • 精神科病院:1,059
  • 一般病院:7,179

一般診療所:102,612

  • 有床:6,303
  • 無床:96,309

歯科診療所:67,874

種類別病床数・病床利用率・平均在院日数(令和2年)

*厚生労働省「医療施設調査」「病院報告」、病床数は令和2年10月1日現在

  • 病院全病床:1,507,526床、77.0%、28.3日
  • 精神病床:324,481床、84.8%、277.0日
  • 感染症病床:1,904床、114.7%、9.8日
  • 結核病床:4,107床、31.5%、57.2日
  • 療養病床:289,114床、85.7%、135.5日
  • 一般病床:887,920床、71.3%、16.5日
  • 介護療養病床: ー 、88.1%、287.7日

保健・医療対策:P11-12

地域保健医療

医療法、医療介護総合確保推進法、介護保険法、地域保健法

  • 保健所468カ所、市町村保健センター2,432カ所(令和4年4月現在)
  • 二次医療圏335医療圏(令和3年10月現在)
  • 地域包括支援センター5,270カ所(令和3年4月現在)
  • 地域包括ケアシステム(地域医療構想・病床機能報告制度)
  • 医療計画、医師確保計画、外来医療計画

在宅医療

医療介護総合確保推進法、介護保険法
人生の最後をむかえるときに生活したい場所として自宅とこたえたのは27.9%(平成30年)

  • 地域包括ケアシステム
  • 小児等在宅医療連携拠点事業
  • 訪問看護サービスの充実
  • 指定訪問看護事業所 13,756カ所(令和4年2月現在)、利用者 104.9万人(令和3年6月現在)

歯科保健

歯科口腔保健の推進に関する法律、健康日本21(第二次)、歯科保健医療ビジョン
無歯医地区777地区・178,463人(令和2年10月31日現在)

  • 8020運動の推進
  • 1歳6か月児・3歳児歯科健康診査
  • 歯周疾患検診(健康増進事業)
  • 高齢者への口腔機能の向上(介護予防)
  • 障害者、へき地の歯科医療の整備

自殺対策

自殺対策基本法、自殺総合対策大綱、都道府県・市町村自殺対策計画
自殺者数 21,007人(令和3年)、自殺動機「健康問題」9,860人(令和3年)

  • 一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター
  • ゲートキーパーの養成
  • こころの健康相談統一ダイヤル
  • SNS相談事業

医療安全管理

医療法、医療介護総合確保推進法、医療事故報告受付件数2,286件、院内調査結果件数1,985件
(平成27年10月〜令和4年2月)

  • 医療事故調査・支援センター
  • 医療安全支援センター416カ所(令和3年度)
  • 院内感染対策
  • チーム医療の推進:多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に目的と情報を共有し、業務を分担しつつもお互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供することをいいます。
goma

体調に気をつけながら一緒に頑張っていきましょう。

文献

医療情報科学研究所(2022)「クエスチョン・バンク 保健師国家試験問題解説 2023 第15版」メディックメディア.
医療情報科学研究所 編(2022)「保健師国家試験のためのレビューブック 2023 第23版」メディックメディア.
一般財団法人 厚生労働統計協会(2022)「国民衛生の動向・厚生の指標 増刊・第69巻9号 通巻第1081号」.
医療情報研究所 編(2022)「公衆衛生がみえる 2022-2023」メディックメディア.
標準保健師講座 編集室(2022)「2023年版 医学書院 保健師国家試験問題集」医学書院.
荒井 直子 他 編(2022)「公衆衛生看護学.jp  第5版 データ更新版」インターメディカル.
車谷典男・松本泉美 編(2016)「疫学・保健統計ー看護師・保健師・管理栄養士を目指すー」健帛社.

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