[公衆衛生がみえる]を読む⑶:疫学の概念と三要因・疫学的因果関係

hokenC

今回は疫学の基礎的なキーワードについて学習しています。疫学的因果関係については国試にも出題される重要な項目のように感じています。

保健師

保健師にとって疫学は公衆衛生看護活動を実践する上で欠かせない領域になっています。感染症や生活習慣病など多くの健康問題をリサーチするときに、この科目の理解が問われます。

goma

大切な科目なんだね。
いっしょに勉強していきましょう。

目次

疫学の概念:「公衆衛生がみえる 2022-2023」P10

疫学とは何?

特定の集団における健康に関連する状況や事象の頻度や分布を調べ、またそれらの規定因子との関連を検討する研究分野のことをいいます。  *疾病予防と健康増進が目的*

疫学研究の例

  • 集団の健康状態を記述する(疫学的指標を用いて集団の健康状態を評価する)
  • 自然史を調べる(病気の発生や治療による経過などを調べる)
  • 因果関係を調べる(特定の要因によって疾病が発症するかを調べる)
  • 介入の効果をみる(予防活動や治療の介入の効果を評価する)

疫学の三要因:「公衆衛生がみえる 2022-2023」P10

肺癌における疫学の三要因の場合

病因:職業的物質、喫煙

宿主要因:加齢、遺伝、COPD

環境要因:受動喫煙、ストレス

疫学的因果関係:「公衆衛生がみえる 2022-2023」P11

関連の一致性
要因と疾患の関係について、他の疫学研究でも同様な結果が得られ、その結果が普遍的であること

関連の特異性
ある疾患に特定の要因があり、その要因があれば疾患があるというように、特定の要因と疾患との間に特異的な関連が存在すること

関連の時間性
要因が結果より先に存在すること

関連の整合性
得られた事実が既知の知見や生物学的研究で得られた事実と矛盾しないこと

関連の強固性
要因と疾病との間に強い関連があること(相対危険度やオッズ比が高い)

ここも復習したい:疫学の概念について

疫学の定義

疫学は、ある特定の集団で観察される健康に関連した状態またはイベント(事象)の分布とそれらの規定因子を研究する学問であり、かつ健康問題を制御するために、研究結果を応用する学問である(国際疫学会編集の疫学辞典 第5版から)

  1. study(研究)
    サーベーランス、観察、仮説の樹立と、その検証、分析的研究、そして実験的研究がある。
  2. distribution(分布)
    時、場所、患者の特性による分析結果を指す。
  3. determinants(規定因子)
    健康に影響を与える、すべての物理的、生物学的、社会的、文化的、そして行動科学的な因子。
  4. 健康に関連した状態とevents(事象)
    病気、死因以外に喫煙などの行動、予防方策に対する反応、公共医療サービスの供給と利用。
  5. population(集団)
    特定の集団とは、正確に人数が数えられているなど、同定可能な特性をもった集団。
  6. application(応用)
    健康を増進させ、まもり、回復させるためのもので、疫学の目的を明確にすること。

疫学における調査方法

  1. 因果関係を調べる
  2. 経過を観察する
  3. 特定集団の健康状態を記述する
  4. 介入の結果をみる

曝露・危険因子・防御因子(予防因子)

曝露とは、疾病が発症する前に、ある特定の要因にさらされること
環境要因(生活習慣、家族構成、教育、居住地域、労働環境、環境汚染等)
宿主要因(性別、年齢、性格、体質、既往歴等)

  • 危険因子とは
    「それに曝露した集団は非曝露の集団に比べて罹患や死亡の確率が上昇するような因子」
  • 防御因子(予防因子)とは
    「罹患したりそれらで死亡したりする確率を、そうでない集団に比べて低下させる因子」
  • 危険因子、防御因子(予防因子)というとき、必ずしも直接原因を指していない。
    間接原因の場合もある。
    例:飲用水に利用されていた共同井戸は実はコレラ菌で汚染されていた(ジョン・スノウ)

診断基準:均一性の確保と比較性の担保が目的

診断の妥当性を考えるとき注意すべきことは、見逃さず(偽陰性)、拾い過ぎず(偽陽性)、対象疾病をどの程度確実に把握できているかを知っておくこと。
スクリーニング理論をもとに検査項目の診断能力を見極めておかなければならない。

因果関係の判断条件

ある要因が作用して、それが原因で、ある結果を発生した場合、要因すなわち原因と結果の間に因果関係がある。

  1. 関連の一致性:同じ結果が反復して普遍的に得られること
  2. 関連の強固性:相対危険度(リスク比)やオッズ比等があること
  3. 関連の特異性:ひとつひとつの曝露と結果に特異な関連性があること
  4. 関連の時間性:必須の条件
  5. 関連の整合性:事実と矛盾がないこと

コッホの3原則とは

  1. その微生物が発見されるのは常に同じ疾病であること
  2. その微生物は他の疾患で見いだされないこと
  3. 患者から分離され培養された微生物は感受性動物への接種で同一の疾病を起こしうること

必要条件と十分条件

必要条件とは必ず特定の要因に曝露しているという意味で、十分条件とは、特定の要因に曝露すると必ず疾病が起こるという意味。ほとんどの場合は十分条件を成立させることは難しい。

文献

医療情報科学研究所(2022)「クエスチョン・バンク 保健師国家試験問題解説 2023 第15版」メディックメディア.
医療情報科学研究所 編(2022)「保健師国家試験のためのレビューブック 2023 第23版」メディックメディア.
一般財団法人 構成労働統計協会(2022)「国民衛生の動向・厚生の指標 増刊・第69巻9号 通巻第1081号」.
医療情報研究所 編(2022)「公衆衛生がみえる 2022-2023」メディックメディア P10-11 .
標準保健師講座 編集室(2022)「2023年版 医学書院 保健師国家試験問題集」医学書院.
荒井 直子 他 編(2022)「公衆衛生看護学.jp  第5版 データ更新版」インターメディカル.
車谷典男・松本泉美 編(2016)「疫学・保健統計ー看護師・保健師・管理栄養士を目指すー」健帛社.

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