2023年 保健師国家試験対策用:公衆衛生看護方法論Ⅰ・Ⅱのまとめ

目次

発達段階と健康課題

  • 乳幼児期:被虐待家庭、家庭内事故、感染症
  • 学童期:いじめ、不登校
  • 思春期・青年期:いじめ、不登校、非行、家庭内暴力、思春期やせ症、自殺
  • 成人期:燃え尽き症候群、ワーカホリック、アルコール依存症、自殺、空の巣症候群
  • 老人期:喪失体験、健康不安、低栄養、フレイル、寝たきり

家族アセスメント理論:日常的な生活力や問題対処能力をアセスメント

  • 家族発達論:家族にも発達段階があると考える
  • 家族システム理論:家族員同士に影響を及ぼし合う1つのシステムと考える
  • 家族ストレス対処理論:家族がどのように順応、適応、対処していくのかを明らかにする
  • 家族のセルフケア機能:家族が本来もっている機能

家族支援:セルフケア能力・問題対処能力の強化を図る

  • キーパーソンを把握する
  • 家庭内の負担を分散させる
  • 家族の潜在的能力を発掘する
  • 社会資源を活用できるよう支援する
  • 家族を非難するような言動を避ける

保健師が支援するグループ

  • 健康教育グループ
  • サポートグループ:共通した課題をもつ(精神障害者のデイケア、虐待している親の会等)
  • セルフヘルプグループ:(断酒会、AA、難病の患者・家族の会等)
  • 地縁組織:近隣同士の地縁に基づいて形成(自治会、町内会、婦人会等)

グループ機能とは:自己変容機能・社会変容機能

保健行動:健康を維持・回復・増進するための行動

健康段階別保健行動

  • 健康増進行動
  • 予防的保健行動
  • 病気回避行動:病気ではなくても放置すると病気になるリスクに気づき、回避しようとする行動
  • 病気対処行動:病気に気づき解決を目指してとる行動

目的別保健行動

  • セルフケア
  • コンプライアンス:専門職が勧めた指示を、患者が遵守する行動
  • アドヒアランス:患者自身の主体性を重視し、積極的に治療に取り組む行動
  • ウエルネス行動:健康づくりのこと

ヘルスリテラシーとは

「健康の増進や維持に役立つ情報にアクセスし、理解し、利用する個人の意欲や能力となる認知的で社会的なスキル」とWHOが定義

  • 機能的ヘルスリテラシー:情報を読んで理解
  • 相互作用的ヘルスリテラシー:知識を取得し利用
  • 批判的ヘルスリテラシー:情報を批判的に検討し活用

自己効力感(セルフエフィカシー):うまく達成できるという自信・確信

高める要因:成功体験、代理的体験、言語的説得、生理的・情動的状態(情緒的高揚)

エンパワメント:対象者の力を引き出し、自己決定能力を強化

個人、組織(グループ)、地域(コミュニティ)が対象
プロセス:傾聴 ⇨ 対話 ⇨ 行動アプローチ

変化の3段階理論/KAPモデル:社会心理学者レヴィンにより提唱

  1. 解凍:不安が変化への動機付けとなり、変化の必要性を理解する
  2. 変化:情報を獲得し、行動を変化させる方法を学習する
  3. 再凍結:変化した新しい行動を定着させる

*知識(Knowledge)⇨ 態度(Attitude)⇨ 習慣(Practice)

行動変容ステージモデル(変化ステージ理論):プロチャスカとディクレメンテ

  1. 無関心期:6ヶ月以内に行動を変えようと思っていない
    (問題の気づきを促す、対象者の想いや興味を引き出す、行動のメリットを伝える)
  2. 関心期:6ヶ月以内に行動を変えようと思っている
    (動機付けの強化、意思決定の支援、メリット・デメリットについて情報提供)
  3. 準備期:1ヶ月以内に行動を変えようと思っている
    (目標設定と行動計画のための自己決定を支援、具体的な方法について情報提供、自己の再評価を行い、行動変容の重要性を実感できるようにする)
  4. 実行期:行動を変えて6ヶ月未満である
    (持続のための支援、環境改善や代替行動による行動を実行、自己効力感を高める支援)
  5. 維持期(継続期):6ヶ月以上行動を維持している
    (健康習慣を維持できるようソーシャルサポートを行う)

ヘルス・ビリーフ・モデル:個人の心理に着目した健康行動理論

  1. 知覚された疾病の感受性(個人の自覚)
  2. 知覚された疾病の重大性(個人の自覚)
  3. 行動による利益(実行の可能性)
  4. 行動による負担(実行の可能性)

影響因子:個人の属性(性格、年齢、性格、収入、教育等)、疾病の恐ろしさの自覚、行動のきっかけ
個人が主観で病気への恐れを自覚し、保健行動の負担よりも利益の方が自己にとって大きいと合理的に判断を下すことで、勧められた保健行動をとる可能性につながる。
自己効力感が重要

対人支援

  • 面接技術(カウンセリング):信頼関係を築き、相談者が主体となって問題解決
    面接者は、観察・傾聴・確認・共感を通して相談を展開
    感情を否定しないで、開かれた質問(自由な答えを求める質問)を心がける。
    閉じられた質問(はい・いいえで答えられる質問)で細部を補足する。
  • コーチング:対象者の能力、強み、個性を引き出し、問題解決するために自発的行動を促すコミュニケーション方法(気持ちを承認し、自ら行動することを支援する)
  • スモールステップ:小さな目標を立てて行動し、成功体験を一つずつ積み重ねることで、自己効力感を向上させ、最終的な大きな目標の達成に導く方法。
  • 記録行政保健師の記録は公文書であり、適正に管理すること。
    主観的情報・客観的情報とアセスメント、対象者の意向を記録し、支援計画を決定する。
    得られた情報は、情報源を明らかにしておく。
    記録は他機関・他職種との情報共有による連携・協働を促進させるが、プライバシーに十分配慮することが必要。

健康相談:あらゆる年齢、あらゆる健康レベルの人が対象

電話相談、面接相談、訪問による相談、文書やICTを活用した相談などがある。
相談者の相談目的や相談内容、問題点を理解し、共感的に受けとめる。
保健医療福祉情報の提供や関係機関や地域住民グループへの紹介や連携も行う。
相談者だけでなく家族や近隣住民に対しても支援する。

  1. 信頼関係を築く
  2. 情報把握とアセスメント
  3. 相談者の意思確認
  4. 問題解決のための支援
  5. 記録
  6. 評価

ケースマネジメント:対象者のQOLの向上が目的

保健師は対象者のニーズに合わせた社会資源の調整や意見調整等を行う

  1. 対象の把握
  2. 情報収集
  3. アセスメント
  4. 支援計画策定
  5. 支援の実施
  6. モニタリング
  7. 評価

インフォーマル(家族や親戚、友人、ボランティア等)な支援も含めてケースマネジメントを行う(自立支援と質の高い継続的なサービスの確保が重要)

家庭訪問:本人からの要請がなくても実施する

家庭訪問の優先順位

  1. 生命にかかわるような緊急性が高い対象者
    自傷他害のおそれがある者、感染拡大による影響が大きな感染症、重症疾患の治療中断者・放置者等
  2. 健康問題の悪化が予測される対象者
    未治療者、健康診査・精密検査未受診者等
  3. 問題解決が困難な対象者
    家族の中にキーパーソンがいない場合、複数の問題を抱えている場合等

家庭訪問の例

  • 結核患者への訪問指導:感染症法
  • 小児慢性特定疾病児童の訪問指導:児童福祉法
  • 新生児・妊産婦・未熟児の訪問指導:母子保健法
  • 乳児家庭全戸訪問事業・養育支援訪問事業:児童福祉法
  • 40〜64歳までの者で療養上の保健指導が必要と認められた対象者への訪問指導:健康増進法

家庭訪問のプロセス

  1. 事前準備
    情報確認、ニーズの予測、連絡(訪問目的と保健師の役割を説明)、必要なら同行訪問を検討
  2. 家庭訪問
    対象者に訪問目的と保健師の役割を説明、信頼関係の構築、傾聴し問題点を整理する、生活状況を観察、必要に応じて保健指導を実施、緊急性を判断
  3. 訪問終了・評価
    継続的な支援の必要性や方針を検討、個々のニーズを集約し地域の課題を抽出、ニーズを保健事業・施策へ反映する

健康診査・検診:早期発見・早期治療・行動変容のきっかけづくり

周知方法:個別周知、広報、パンフレット、ホームページ、地区組織を活用した呼びかけ等

受診率を向上させるには、受診行動の利便性や企画する事業の費用対効果を考慮する必要がある。

未受診の理由を調査し、その理由に応じて効果的な受診勧奨の方法を検討する(家庭訪問や個別通知等)

健康教育:参加者が主体的に取り組む態度や、行動する力を育むことが目的

ピア・エデュケーションとは、あるテーマについて正しい知識、スキル、行動を同世代の仲間で共有する健康教育(授業時間や学園祭等)

  1. ニーズの把握
  2. 目的・目標の設定
  3. テーマの設定
  4. ニーズと状況にふさわしい教育方法の選定
  5. 評価基準の設定
  6. 健康教育の実施
  7. 評価とフィードバック
  • 個別性の高い健康課題をもつ事例や、専門的支援が必要な事例では、集団ではなく個別に保健指導を行うのが望ましい。
  • 対象集団の健康課題、年齢、社会的特性などに共通性がある場合は、グループワークによる健康教育が効果的・効率的である。
    仲間同士で励まし合えることから、行動変容の継続に有効である。
  • 健康教育で解決できなかった場合は、終了後に個別相談や家庭訪問などによるフォローが必要になる。
  • 自主的な活動を希望する場合は、セルフヘルプグループの立ち上げを支援する。
  • 健康教育の評価は実施前に検討し、結果だけでなく、計画や実施過程も評価する。
    長期の健康教育の場合は、中間評価も行う。

費用効果分析:同種の効果を有する事業の経費を比較する方法
費用便益分析:得られた特定の効果を金銭に換算し、事業にかかった費用と比較する方法

グループ支援:個人の認識・行動の変化、社会資源、地域を変えることが目的

グループダイナミクス:個人、個人間、環境の3要素

  • お互いの体験を共有し、コミュニケーションを通して相互に影響を及ぼし合う(凝集性が高められる)
  • 凝集性を高めるには、「集団に所属する利益が明確」「職務が有効に達成できる」「組織に対する貢献が明確」であることが必要。
  • グループメンバーは、「相互に癒し合うこと」「学び合うこと」「新しい挑戦や創造的活動に向かう意志が生じること」が必要。

グループの発達段階

  • 準備期:グループづくりの計画、メンバー募集、メンバーの考えや思いを事前に理解する
  • 開始期:目的をメンバー間で共有、メンバーが活動計画を作成するのを支援する、主体的に意思決定できるよう支援する
  • 作業期:グループの相互作用を促進させる
  • 終結期:メンバー同士が気持ちを分かち合うことができるよう支援する、活動の評価を行う

グループ支援の実施:話し合い、課題の共有、連帯感が大切

  • 保健師は支援者・調整役であることを明確に(ファシリテーターの役割)
  • グループの主体性を尊重
  • 活動目的、内容、目標はメンバーが決める
  • メンバーが自由に発言できるように配慮する
  • 必要に応じて先進的な取り組み事例等の情報提供を行う
  • 活動の振り返り、成果や課題を話し合う機会を持てるよう促す
  • 目標達成状況を客観的指標を用いて評価する
  • グループ運営の負担が大きいリーダーへの精神的支援も重要

グループワークを円滑に進行するために(保健師の役割)

  • 到達目標は計画時に設定
  • 事前にメンバーの生活状況を把握し、関わりによる効果や変化をアセスメント
  • メンバーの自己紹介を促す
  • 反応を見ながら進行
  • 経験を共有できるよう促す
  • メンバーの主体性を尊重し、順番通りに発言を求めない
  • 結論を誘導しない
  • 話し合った内容を要約し整理する

文献

『標準保健師講座』編集室:「2023年版 医学書院 保健師国家試験問題集」、医学書院、2022、P28-61.
医療情報科学研究所:「クエスチョン・バンク 保健師国家試験問題解説 2023 第15版」メディックメディア、2022.
一般財団法人 構成労働統計協会「国民衛生の動向・厚生の指標 増刊・第69巻9号 通巻第1081号」、2022.
医療情報科学研究所 編:「保健師国家試験のためのレビューブック 2023 第23版」、メディックメディア、2022、P 24-46.
医療情報研究所 編:「公衆衛生がみえる 2022-2023」、メディックメディア、2022.
荒井 直子 他 編:「公衆衛生看護学.jp  第5版 データ更新版」、インターメディカル、2022.
車谷典男・松本泉美 編:「疫学・保健統計ー看護師・保健師・管理栄養士を目指すー」健帛社、2016.

place4 保健師国家試験対策ノート

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