2024年版 公衆衛生看護学概論のまとめ

hokenC

今年も保健師国家試験が段々と迫ってきました。
私自身は久しぶりの勉強となりますが、昨年度まとめた内容を科目ごとにブラッシュアップして学び直しをしています。

目次

公衆衛生の定義(ウインスロー)

組織化された地域社会の努力を通じて、疾病を予防し、寿命を延長し、身体的・精神的健康と能率の増進を図る科学・技術。「日本国憲法」25条に基づき、すべての国民の健康の保持増進を図るため、国や地方自治体によって行われる公的活動。*25条(健康で文化的な最低限度の生活、社会福祉、社会保障・公衆衛生)

諸外国の変遷(重要人物)

  • チャドウイック:世界初の「公衆衛生法」(イギリスに衛生局を設置)
  • ジョン・スノウ:ロンドンでコレラの流行に対して、疫学的手法により対策を講じる
  • ナイチンゲール:クリミア戦争下の病院で統計学的手法により衛生状態を改善
  • ラスボーン:世界で最初の訪問看護活動を実施(地区看護婦の養成)
  • リチャーズ:初代京都看病婦学校責任者
  • ウォルド:初めて公衆衛生看護の言葉を用いて活動
  • ドーソン:イギリスで地域包括医療の重要性を強調
  • ウィンスロー:公衆衛生の定義
  • オルト:GHQ 公衆衛生福祉局看護課の初代課長(産婆・看護婦・保健婦の一元化)
  • ブラウン:アメリカにおける看護学教育やサービスのあり方を明らかにした

日本の公衆衛生と公衆衛生看護

1922(大正11)年:「健康保険法」制定
1923(大正12)年:済生会巡回看護事業、訪問看護活動
1926(大正15)年:日本で初めて「保健婦」の名称が用いられる
1937(昭和12)年:「保健所法」制定
1938(昭和13)年:「国民健康保険法」制定(国保保健婦配置)、厚生省設置
1941(昭和16)年:「保健婦規則」制定
1947(昭和22)年:「保健所法」全面改正、開拓保健婦の設置
1948(昭和23)年:「保健婦助産婦看護婦法」制定(GHQのオルトが関与)、駐在保健婦の設置
1970(昭和45)年:開拓保健婦が都道府県保健婦に身分移管
1978(昭和53)年:市町村保健センター整備、国保保健婦は市町村保健婦に身分移管
1994(平成6)年:「地域保健法」制定 *保健所法」を改題・改正
2001(平成13)年:「保健師助産師看護師法」に改正、厚生労働省が発足
2006(平成18)年:保健師免許付与には看護師免許が必須になる

保健婦の種類

  • 国民健康保険保健婦(昭和13〜53年)
    北海道・東北地方の農村恐慌への対策
  • 開拓保健婦(昭和22〜45年)
    開拓農民(入植者)の健康管理を目的に、農林省の管轄で配置
  • 駐在保健婦(昭和23〜平成6年)
    高知・香川・和歌山・新潟・青森等へのへき地に駐在

プライマリヘルスケア:アルマ・アタ宣言で提唱(1978年)

「西暦2000年までにすべての人に健康を」「人間の基本的な権利(基本的人権)」

  • 住民のニーズに基づくこと
  • 適正技術の導入・地域資源の有効活用
  • 住民参加
  • 農業、教育、通信、建設、水利等、多分野間の強調と統合

ヘルスプロモーション:オタワ憲章(1986年)

「自らの健康をコントロールし、改善できるようにするプロセス」住民の主体的参加が基本

3つの活動原則:唱道(advocate)、能力の付与(enable)、調停(mediate)
5つの活動分野:健康的な公共政策、健康を支援する環境づくり、地域活動の強化、個人的なスキルの強化、ヘルスサービスの方向転換(二次予防から一次予防へ)

バンコク憲章:第6回ヘルスプロモーション国際会議で採択(2005年)

世界における格差問題、都市化、地球環境変化などを受け、健康に影響を与える要因に対処するための活動や責務、誓約を確認した。「ヘルスプロモーションとは人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるプロセス」と改めて定義。

予防医学の概念

  • 一次予防:健康増進・疾病予防(健康教育、生活習慣の改善、予防接種、事故防止)
    罹患率の低下が目標
  • 二次予防:早期発見・早期治療(健康診断、精密検査、適切な治療、合併症予防)
    死亡率の低下、生存期間の延長が目標
  • 三次予防:悪化防止・社会復帰支援(機能回復訓練、後遺症予防、職業訓練)
    ADL・QOLの向上、社会復帰が目標

ブレスローの7つの健康習慣

  1. 適切な睡眠をとる
  2. 喫煙をしない
  3. 適正体重を維持する
  4. 過度な飲酒をしない
  5. 定期的に運動する
  6. 朝食を毎日とる
  7. 間食をしない

ポピュレーションアプローチ:一次予防(集団全体)

集団全体に効果が及ぶが、行動変容など個人に対する効果が低い。
*街頭における分煙キャンペーン、メンタルヘルス研修の実施、母子手健康手帳交付等

ハイリスクアプローチ:二次予防(高リスク群、個人)

個人への効果が高く、費用対効果にも優れているが、スクリーニングに手間と費用がかかる。
*喫煙者に対する肺がん検診の推奨、虐待リスクのある家庭への訪問等

PDCAサイクルとは

計画(plan)⇨ 実施(do)⇨ 評価(check)⇨ 改善(act)

アウトリーチとは

支援者から手を差し伸べてニーズを発掘、情報・サービスの提供を行うこと(保健師の家庭訪問等)

ソーシャルキャピタル:社会関係資本のこと

「人々の協調行動を活発にすることによって、社会の効率性を高めることができる、信頼、規範、ネットワークといった社会組織の特徴」
保健師は地区活動を通じてソーシャルキャピタルの醸成を図り、住民の自助・共助を支援して、主体的かつ継続的な健康づくりを推進する。

ソーシャルサポート:社会的支援(人間関係・社会的ネットワークも含む)

  • 道具的サポート(物資、金銭、労働等、形ある直接的支援)
  • 情報的サポート(役立つ情報提供、アドバイス等の支援)
  • 情緒的サポート(愛情、共感、傾聴等、他者との情緒的つながりを築くための支援)
  • 評価的サポート(賛成、称賛等、自己評価のために役立つ支援)

保健師の保健活動

保健師について:名称独占の資格

  • 業務に従事する保健師は、2年ごとに業務従事者届を就業地の都道府県知事に届け出なければならない。
  • 保健師の守秘義務は「保健師助産師看護師法」に規定されている
    行政保健師の守秘義務は「地方公務員法」に規定されている

地域における保健師の保健活動に関する指針:平成25(2013)年4月の通知(厚生労働省)

  1. 地域診断に基づくPDCAサイクルの実施
  2. 個別課題から地域課題への視点および活動の展開
  3. 予防的介入の重視
  4. 地区活動に立脚した活動の強化
  5. 地区担当性の推進
  6. 地域特性に応じた健康なまちづくりの推進
  7. 部署横断的な保健活動の連携および協働
  8. 地域ケアシステムの構築
  9. 各種保健医療福祉計画の策定および実施
  10. 人材育成

都道府県保健所等に勤務する保健師

広域的・専門的なサービス提供、健康危機への体制づくり等 
*常勤保健師5,675人(令和4年度)
【業務連絡・事務に26.5%、保健福祉事業に20.0%、コーディネートに15.3%、地区管理に15.2%従事】

市町村保健師

住民の主体的な健康づくり支援、ボランティア組織の育成支援、防災計画策定への参画等 
*常勤保健師2万957人(令和4年度)
【保健福祉事業に41.6%、業務連絡・事務に23.8%、コーディネートに11.0%従事】

総括保健師:組織横断的な総合調整・推進を実施し、人材育成・技術面での指導・調整を行う。

令和2年衛生行政報告:就業保健師数は5万5,595人
市町村(54.8%)、保健所(15.3%)、事業所(6.8%)、病院(6.4%)

令和4年度保健師活動領域調査:行政の常勤保健師は3万8,003人
市町村(55.1%)、保健所設置市(25.8%)、特別区(4.1%)
都道府県(14.9%)

社会環境の変化と健康課題

労働・雇用環境

令和3(2021)年の労働人口は 6,860万人(女性の割合は44.6%)(65歳以上の者は929万人)
65歳以上の就業率は25.1%で上昇
非正規職員・従業員の割合は37.1%
失業率は2.8%(11年ぶりに上昇)

女性の就業率は、25〜29歳および30〜34歳を底とするM字カーブを描いていたが、台形に近づきつつある。
令和3(2021)年度の育児休業取得率は男性が14.0%、女性が85.1%である。
少子化社会対策大綱では令和7年に30%とする目標を立てている。

男女共同参画社会:男女が互いの人権を尊重しつつ、個性と能力を十分に発揮することができる社会

平成11(1999)年に「男女共同参画社会基本法」が制定された

  • ワーク・ライフ・バランスの改善
  • 男性が家事・育児・介護などに参画しやすい環境の整備
  • 働きやすい環境の整備(女性を含めた)

社会格差:学歴、職業、所得などの社会経済要因の格差のこと

相対的貧困率(大多数の人の生活水準よりも貧しい状況)は11.2%(2019年)
ジニ係数は所得分配の不平等さを図る指数(0に近いほど格差が小さく、1に近いほど格差が大きい)
日本の等価可処分所得のジニ係数は0.288で、過去10年で概ね横ばい

健康格差:地域や社会経済状況の違いによる集団間の健康状態の差

職業、収入、教育水準等の社会経済的地位は、健康格差の社会的決定要因となる

環境問題

地球温暖化:大気中に温室効果ガス(CO2、メタン、フロン等)が蓄積・滞留することによる

温暖化により、光化学スモッグ被害、熱中症、マラリア、デング熱・・・・の発生が増える。

  • 1992年 気候変動枠組条約:国際連合環境開発会議(地球サミット)で155カ国が署名
  • 1997年 京都議定書:先進国の温室効果ガス排出量の削減目標を定めた
    (日本の目標はCO2を1990年比で6%減)
  • 2015年 パリ協定(産業革命からの気温上昇2°C未満に)
    (すべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新する)
    *カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを2020年に宣言。

酸性雨:pH5.6以下の雨(硫黄酸化物や窒素酸化物等の発生による)

湖沼や河川の酸性化による魚類の減少、土壌の酸性化による森林の枯死といった生態系への被害がある。

環境基本法:平成5(1993)年に制定

大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音について環境基準を定めている。
国は「環境基本計画」を定めなければならない。

大気汚染:二酸化窒素(NO2)、光化学オキシダント(Ox)、微小粒子状物質(PM2.5)

「大気汚染防止法」:昭和43年制定、令和2年6月改正
都道府県知事は大気汚染の状況を常時監視しなければならない。
(ばい煙、揮発性有機化合物、粉塵などの排出ガス規制)

ダイオキシン類:塩化ビニルなどの焼却によって発生(発がん性、催奇形性などの毒性で、生殖・免疫機能に影響)
平成11(1999)年に「ダイオキシン類対策特別措置法」が制定

水質汚濁

  • 水道法:人の飲用に適する水
  • 環境基本法:公共用水域と地下水
  • 水質汚濁防止法:工場・事業場から公共用水域等への排水

水を介して起こる経口感染症:細菌性、ウイルス性、原虫
(病原大腸菌、赤痢菌、クリプトスポリジウム等)

公害:大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音・振動・地盤沈下・悪臭

公害と健康障害

  • 四日市喘息・川崎喘息
  • 熊本水俣病・新潟水俣病(有機水銀)
  • イタイイタイ病(カドミウム)
  • 慢性ヒ素中毒症
  • カネミ油症(ポリ塩化ビフェニル:PCB)

「公害健康被害補償法」昭和48年制定、令和3年6月改正

  • 第一種地域(非特異的疾患):不特定多数の疾患が多発
    慢性気管支炎、気管支喘息、喘息性気管支炎、肺気腫等
  • 第二種地域(特異的疾患):広範囲の大気汚染・水質汚濁があり、因果関係が明らか
    水俣病、イタイイタイ病、慢性ヒ素中毒症

文献

『標準保健師講座』編集室:「2023年版 医学書院 保健師国家試験問題集」、医学書院、2022.
医療情報科学研究所:「クエスチョン・バンク 保健師国家試験問題解説 2023-24 第16版」メディックメディア、2023.
一般財団法人 構成労働統計協会「国民衛生の動向・厚生の指標 増刊・第69巻9号 通巻第1081号」、2022.
医療情報科学研究所 編:「保健師国家試験のためのレビューブック 2023-24 第24版」、メディックメディア、2023.
医療情報研究所 編:「公衆衛生がみえる 2022-2023」、メディックメディア、2022.
荒井 直子 他 編:「公衆衛生看護学.jp  第5版 データ更新版」、インターメディカル、2022.
車谷典男・松本泉美 編:「疫学・保健統計ー看護師・保健師・管理栄養士を目指すー」健帛社、2016.

place4 保健師国家試験対策ノート

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次