2024年版 保健統計のまとめ

目次

保健統計の基礎

統計学とは

得られた集団の特性を把握することを目的とした記述統計学と、それらの指標から集団全体について推論することを目的とした推測統計学に大別される。

量的データ

比尺度:原点から等間隔目盛づけができるもの(年齢、身長、血圧等)
間隔尺度:等間隔の目盛づけができるもの(気温等)

質的データ

順序尺度:順序づけができるもの(成績、順位等)
名義尺度:順序づけができないもの・数値に表せないもの(性別・血液型等)

統計グラフの種類

*円グラフ:構成割合など視覚的にとらえやすい
*棒グラフ:時系列の変化や各項目の差がわかりやすい
ヒストグラム:各階級に含まれる度数に比例した大きさの柱を並べる(階級間に空白がない)
*帯グラフ:時系列での推移を表したりするために用いる
*折れ線グラフ:時間的経過等による量の変化の様子を表すもの
*散布図:2変数のデータ値をそのままの形でXーY軸状にプロットするもの(はずれ値の存在について調べられる)

正規分布:左右対称・釣鐘状で一峰性
中央値、最頻値、平均値がほぼ一致する
平均値±1標準偏差(SD)の範囲に対象集団の68.2%が含まれる
平均値±2標準偏差(SD)の範囲に対象集団の95.4%が含まれる
母集団から標本抽出を繰り返し行うと、標本平均は母平均を中心とした正規分布を示す

*代表値:分布を要約する指標
*平均値:はずれ値の影響を受けやすい
*中央値:データの順番が真ん中になる値
*最頻値:最も多く現れているデータの値

分散と標準偏差

データのばらつきを示すものには、範囲、分散、標準偏差、四分位範囲などがある
標準偏差は観測値が平均からどのくらいばらついているのかを示す

分散:偶然誤差の大きさを表す指標となる
個々のデータ値xと平均値mの差(=偏差)を2乗したものを合計し、データの個数nで割ったもの

標準偏差:平均値を中心に観測値がどれくらいばらついているかを示す
分散の平方根を取ったもの

四分位数とパーセンタイル

四分位数は順序に並べたデータ全体を4つに等分する点を指す
第1四分位数と第3四分位数の差を四分位範囲という(四分位範囲を半分にした値を四分位偏差という)
パーセンタイルとは、データを小さい順に並べ、全体を100%としたとき、小さな方から何%目にあたるかを示す単位

相 関

2つの変数の線型関係を示すもの
相関係数とは、2つの変数の相関の度合いを数値化したもの
−1や1に近いほど相関関係が強い(相関が全くない時は0となる)

回 帰

2つ以上の変数の関係を示すもので、x(独立変数)を用いてy(従属変数)を予測する
単回帰分析:y=ax+b  (1つの独立変数を用いて従属変数を予測)
重回帰分析:y=a1x1+a2x2・・・+b(複数の独立変数を用いて従属変数を予測)
独立変数(x)にかける定数aを回帰係数をいう
クロス集計:質的データ同士の関連を分析する方法

縦と横に変数を配置してできるセルに頻度や割合を示したクロス集計表が用いられる
2✖️2のクロス表がよく用いられる(四分表)

点推定/区間推定

推定:抽出した標本の値から母集団の特性を推論すること
点推定:標本の値をもって母集団の値を推定すること
区間推定:母集団の代表値が含まれる範囲(信頼区間)を示す真値を推定すること
95%信頼区間がよく用いられる

*検定:標本から得られた情報をもとに、母集団に対する仮説をテストすること
対立仮説:予想される仮説は調査・実験を行ってデータを収集し証明する
帰無仮説:比較する2つの変数間には「関連がない」とする仮説のこと
帰無仮説が真であるとした場合に得られたデータがどれほど起こりにくい結果であるかを検証するための確率をp値という
有意水準(危険率)とは、帰無仮説の棄却域だと考える境界域のことであり、通常0.05(5%)を用いることが多い
p値<有意水準またはp値=有意水準の場合:「帰無仮説は統計学的有意に棄却された」といえる
P値>有意水準の場合:帰無仮説は棄却できないが、帰無仮説が正しいと示されたわけではない

第1種の過誤(αエラー):帰無仮説が正しいにもかかわらず、誤ってそれを棄却してしまうことにより、本来関連がない2つの事象を関連があると判断してしまうこと
第2種の過誤(βエラー):帰無仮説が誤っているにもかかわらず、それを棄却しないことにより、関連がある2つの事象を関連がないかもしれないと判断してしまうこと

パラメトリック検定

t 検定:2群間の平均値の差を検定
*対応のないt検定・・独立した2群間から得られたデータを比較する場合に用いる
*対応のあるt検定・・同一集団から得られたデータを比較する場合に用いる
分散分析(F検定):2群間以上のデータのばらつきが等しいかどうか(等分散)を検定する

ノンパラメトリック検定

マンホイットニーのU検定:順序尺度をもつデータを対象とする(対応のない2群間の差を検定)
カイ2乗検定:2つの変数カテゴリー同士の観察された頻度に、理論値との差(割合の差)があるかどうかを検討する
*多変量解析:多くの対象者に複数個の変数の測定値が与えられる場合
*多変量解析の種類には、重回帰分析、因子分析、クラスター分析、多重ロジスティック回帰分析等がある

保健医療分野のICT化

  • ICT基盤の整備に向け、データヘルス改革が推進されている
  • レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)は、医療費適正化計画の作成などに活用される。
  • レセプトとは診療(調剤)報酬明細書のことで、NDBには医科、歯科、調剤、DPC(急性期入院医療の領域で利用する診断群分類)のレセプト情報が含まれる。
  • NDBの特定健診情報には、身長・体重・腹囲・血液検査の結果、および保健指導レベルなどが含まれる(都道府県別BMI分布などを作成)
  • 介護保険総合データベースは、介護保険事業の適正な運営などに活用される。
  • 国民健康保険データベース(国保データベース、KDB)は、国民健康保険加入者ならびに後期高齢者医療制度対象者のレセプト情報、特定健康診査・特定保健指導の情報、介護保険レセプト情報、要介護認定の情報が集約されている。
    (市町村や後期高齢者医療広域連合のデータヘルス計画の作成に活用)

人口静態統計

総人口:1億2,550万2千人(世界第11位):令和3年

2008年をピークに減少傾向
令和35(2053)年には1億人を下回ると推計されている

年齢3区分別人口構成:令和3年10月1日現在

  • 年少人口(0〜14歳):1,478万人(11.8%)
  • 生産年齢人口(15〜64歳):7,450万人(59.4%)
  • 老年人口(65歳以上):3,621万人(28.9%)
    *令和47(2065)年には38.4%に達すると予測されている

指 標

  • 年少人口指数=年少人口/生産年齢人口✖️100  
  • 老年人口指数=老年人口/生産年齢人口✖️100 
  • 従属人口指数=(年少人口+老年人口)/生産年齢人口✖️100  
  • 老年化指数=老年人口/年少人口✖️100 

高齢化率

  • 高齢化社会:7〜14% *1970年〜
  • 高齢社会:14〜21%  *1994年〜
  • 超高齢社会:21%以上 *2007年〜

世帯構造:5,191万4千世帯(平均世帯人員は2.37人)
全世帯
  令和3年国民生活基礎調査

  1. 単独世帯(29.5%)
  2. 夫婦と未婚の子のみの世帯(27.5%)
  3. 夫婦のみの世帯(24.5%)

65歳以上の者のいる世帯 令和3年国民生活基礎調査

  1. 夫婦のみの世帯(32.0%)
  2. 単独世帯(28.8%)
  3. 親と未婚の子のみの世帯(20.5%)

65歳以上の者のみの世帯:1,504万4千世帯 令和3年国民生活基礎調査

  1. 単独世帯(49.4%)
  2. 夫婦のみ世帯(46.6%)
  3. その他の世帯(4.1%)

人口動態統計:令和3年人口動態統計

出生:出生数は81万1,622人、出生率(人口千対)は6.6

母親の平均年齢は32.2歳(30〜34歳が最も多い)
出生順位は第1子が45.9%、第2子が36.3%

合計特殊出生率:15〜49歳の女性の年齢別出生率を合計したもの
一人の女性が一生の間に生む平均子ども数 *1.30(令和3年)
沖縄県(1.80)、東京都(1.08)

総再生産率15〜49歳の女性が、それぞれの年齢別出生率に従って子どもを生むと仮定した場合、1人の女性が生むであろう平均女児数 *0.65(令和3年)

純再生産率総再生産率に15〜49歳の女性が死亡率を考慮して算出したもの
*0.64(令和3年)・・・1.0を下回ると将来人口が減少

死亡:死亡数は143万9,856人 (ICD -10に準拠)

死亡順位

  1. 悪性新生物
  2. 心疾患
  3. 老衰
  4. 脳血管疾患
  5. 肺炎

年齢階級別死因(第1位)

  • 0〜4歳:先天奇形、変形及び染色体異常
  • 5〜14歳:悪性新生物
  • 15〜39歳:自殺
  • 40〜89歳:悪性新生物
  • 90歳以上:老衰

周産期死亡・乳児死亡

  • 周産期死亡率は3.4(出産千対)、乳児死亡率は1.7(出生千対)
  • 近年の乳児死亡率の改善は、生後1週未満の早期新生児死亡の減少による

死産:妊娠満12週(第4月)以降の死児の出産

  • 自然死産率=自然死産数/出産数(出生数+死産数)✖️1,000  *9.8(出産千対)
    25〜29歳が7.6で最も低い
  • 人工死産率=人工死産数/出産数(出生数+死産数)✖️1,000  *9.9(出産千対)
    30〜34歳が5.3で最も低い

保健統計調査

日本における主な保健統計調査

  1. 人口静態調査(国勢調査)悉皆調査・5年ごと(統計法)
    常住人口、個人調査、世帯調査
    10年ごとの大規模調査と、5年目に実施される簡易調査がある
    項目:性別、年齢、世帯構成、国籍、就業状態、住居の種類等
    平成27年〜インターネット回答も導入
    対象:国内に常在する外国人も含まれる
  2. 人口動態調査悉皆調査・毎年〈毎月集計〉(統計法)
    人口動態5事象(出生、死亡、死産、婚姻、離婚)
    戸籍などの届出をもとに実施
    対象:日本在住の外国人、海外在住の日本人も含まれる
  3. 国民生活基礎調査標本調査:毎年〈3年ごとに大規模調査〉(統計法)
    毎年:世帯票、所得票
    大規模調査年:毎年の調査に加え、健康票、介護票、貯蓄票
    無作為に抽出された世帯・世帯員が対象
    保健、医療、福祉、年金、所得等が基礎的事項
    3年に1回すべての分野に関して大規模標本調査を実施

    有訴率:自覚症状のある者の人口千人に対する割合
    (全体では302.5、65歳以上では433.6)
    男性は「腰痛」「肩こり」「鼻がつまる・鼻汁が出る」「咳や痰が出る」「手足の関節が痛む」の順
    女性は「肩こり」「腰痛」「手足の関節が痛む」「体がだるい」「頭痛」の順
    65歳以上では男女とも「腰痛」が1位

    通院者率病院、診療所、施術所に通院・通所している者の人口千対に対する割合
    (全体では404.0、65歳以上では689.6)最も高いのは80歳以上
    男性は「高血圧症」「糖尿病」「歯の病気」「眼の病気」「脂質異常症」の順
    女性は「高血圧症」「脂質異常症」「眼の病気」「歯の病気」「腰痛症」の順
  4. 患者調査標本調査・3年ごと(統計法)
    医療機関での、患者の性別、出生年月日、住所、疾患名、入院・外来の種別、受療状況等
    無作為に抽出された医療施設が対象
    10月中の3日間のうち医療施設ごとに定めた1日で行う
    退院患者は9月中の1ヶ月で行う(9月に退院した患者の在院日数の平均)
    受療率(人口10万対)、推計患者数、退院患者の平均在院日数が得られる
    推計患者数:入院が121万人、外来が714万人、うち65歳以上が入院74.7%、外来50.7%を占めている
    入院受療率は960、外来受領率は5,658(人口10万対)
    傷病分類別の入院受療率は、精神及び行動の障害、循環器系の疾患、新生物の順
    傷病分類別の外来受療率は、消化器系の疾患(歯の疾患が多数)、循環器系の疾患、筋骨格系及び結合組織の疾患の順
  5. 医療施設調査悉皆調査・動態調査は毎月/静態調査は3年ごと(統計法)
    開設者、診療科目、設備概況、従事者数等
    病院は8,238施設(一般病院7,179、精神科病院1,059)、一般診療所は10万2,612施設、歯科診療所は6万7,874施設
  6. 学校保健統計調査標本調査・毎年(統計法)
    定期健康診断の結果に基づく発育状態(身長、体重)、健康状態(主な疾病・異常の被患率等)
  7. 社会生活基本調査標本調査・5年ごと(統計法)
    生活時間の配分、生活行動(学習、自己啓発、訓練、ボランティア活動、スポーツ、趣味、娯楽、旅行、行楽等)
  8. 国民健康・栄養調査標本調査・毎年(健康増進法)
    身体状況(身長、体重、血液検査等)
    栄養摂取状況(食事状況、食物摂取状況等)
    生活習慣(食生活、飲酒、喫煙等)
    一時点における横断的な調査
    20歳以上の男性の肥満は33.0%、女性では22.3%
    やせは男性3.9%、女性11.5%(20歳代が20.7%)
    喫煙している割合は、男性27.1%、女性7.6%
  9. 食中毒統計調査悉皆調査・毎月(食品衛生法)
    食中毒の患者・死者の発生状況

国民医療費:診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費

  • 医療費の3要素:① 1人あたりの件数(受診率)、② 1件あたりの受診日数、③ 1日あたりの医療費
    1人あたりの医療費=①✖️②✖️③
  • 令和元年度の国民医療費
    総額:44兆3,895億円
    人口1人あたり:35万1,800円
    国民所得に対する割合:11.06%
  • 年齢階級別では、65歳以上が全体の61.0%
  • 1人あたりの医療費は、65歳未満が19万1,900円、65歳以上が75万4,200円、75歳以上が93万600円
  • 傷病分類別の医科診療医療費では、循環器系の疾患(19.2%)、新生物(14.9%)、筋骨格系及び結合組織の疾患(8.1%)となっている

国際疾病分類(ICD)疾病及び関連保健問題の国際統計分類
*WHOが作成、ほぼ10年に1回改定、日本では最新版ICD-11適用に向け準備中

文 献

『標準保健師講座』編集室:「2023年版 医学書院 保健師国家試験問題集」、医学書院、2022.
医療情報科学研究所:「クエスチョン・バンク 保健師国家試験問題解説 2023-24 第16版」メディックメディア、2023.
一般財団法人 構成労働統計協会「国民衛生の動向・厚生の指標 増刊・第69巻9号 通巻第1081号」、2022.
医療情報科学研究所 編:「保健師国家試験のためのレビューブック 2023-24 第24版」、メディックメディア、2023.
医療情報研究所 編:「公衆衛生がみえる 2022-2023」、メディックメディア、2022.
荒井 直子 他 編:「公衆衛生看護学.jp  第5版 データ更新版」、インターメディカル、2022.
車谷典男・松本泉美 編:「疫学・保健統計ー看護師・保健師・管理栄養士を目指すー」健帛社、2016.

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